「遠距離恋愛からの結婚」に関する専門家の意見やアドバイス
「いつもベッタリ」ではない距離感が奏功することもある
「常に隣にいて何をするにも一緒」というような付き合い方に比べて、遠距離恋愛には制約が多いもの。しかし物理的に離れていることにより、いい関係が持続する場合もあるようです。『恋愛心理の秘密』(渋谷昌三)には、以下のような記述があります。
「心理学の分野には『ヤマアラシのジレンマ』という言葉があります。これは、次のような寓話がもとになっています。
二匹のヤマアラシがいました。寒さに耐えかねて身体を寄せ合おうとすれば、互いに相手の身体に針が刺さってしまいますし、かといって離れれば寒さが身にしみます。
ではどうしたらいいのかと工夫して、近づいたり離れたりを繰り返すうちに、最後には互いに痛くもなく温め合える、快適な距離を見つけられる、というものです。
この理論は、恋愛における男女の距離にも応用できます。互いに一定の距離を保つことで、快適な関係を維持できるのです。
もちろん、この場合は、物理的な距離ではなく心理的距離のことです。
一般的に現代人は、他人との距離の取り方が下手だといわれていますので、恋愛以外にも応用できるでしょう。
毎日顔を合わせているうえに、いつも腕を組んで歩いているカップルがいます。周りから見ると、熱愛中のカップルにしか見えません。けれども、実際は、女性があまりにも依存的で男性は負担に感じている-といったケースも多いのです。
かといって、まったく会わないのも不安なのです。
会っていても、離れていても、快適な関係ではない-こんな恋愛では、なかなか幸せは感じられません。
適度な距離を置きつつ、近くにいる-難しいけれども、依存しすぎず、離れすぎずというのが、ちょうどよい距離なのでしょう。」
会いたいときに会えるわけではない遠距離恋愛の場合、相手のことを冷静に見極めながら、精神的にもいい距離感を保つことできそうです。落ち着いた交際を続けるうちに、結婚話も浮上するかもしれません。
遠距離なら「オンデマンド婚」という選択肢もある
二人の居住地が離れており、仕事や家庭の事情でその土地を離れることができない場合、同居を前提とする結婚生活をスタートさせるのは至難の業でしょう。『大人の「男と女」のつきあい方』(川北義則)では、以下のようなケースが紹介されています。
「オンデマンドとはネットの世界では一般的だが、要は利用者が自分の見たい映画を見たいときに視聴できる方式をいう。そこから転じて、一緒にいたいとき、一緒にいられるときだけ生活をともにする結婚形態をいう。
オンデマンド婚の背景には、さまざまな理由がある。
ともに仕事を持っていて、生活パターンを合わせられないため、最初から納得ずくで一緒に住まないことを前提に結婚するケース。
遠距離恋愛の末に結婚したものの、ともにこれまでの仕事のスタイルを変えたり、転職する意志がないために同居を求めないケース。
また、核家族化の影響で夫と妻のそれぞれが、単独では生活が困難な年老いた親の面倒を見なければならないケースもある。
つい最近、まさしくオンデマンド婚を実践している三〇代半ばの女性の話を聞く機会があった。
彼女はゲームソフト開発会社に勤めている。ゲームソフトの開発は驚くほど短期集中型の作業が一般的で、一本のソフトを完成させるために一カ月近くも会社に缶詰め状態になることも珍しくはない。その間、会社の近所に借りたマンションはいわば仮眠場所と化す。その代わり、一本のソフト開発が終われば一カ月以上の休みがとれるのだという。
一方、結婚相手の彼は救急病院の勤務医。こちらも、不眠不休は当たり前で緊急の呼び出しは日常茶飯事。彼もまたマンションでの一人暮らしである。
こういう組み合わせでは、一般的な家庭生活を送ることはむずかしい。そこで、双方話し合ってオンデマンド婚を選択したのだという。」
このように、離れ離れに暮らすことを前提としている「オンデマンド婚」であれば、お互いの生活スタイルを守りながら、精神的な安定も得られるかもしれません。
<参考文献>
『恋愛心理の秘密』(渋谷昌三)
『大人の「男と女」のつきあい方』(川北義則)
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