事実婚のメリット・デメリット!《デメリット編》
そこで、メリットの次は事実婚のデメリットを見ていきましょう。
配偶者控除や相続税の控除が受けられない
婚姻届を提出する正式な婚姻のことを「届出婚」と言いますが、届出婚の場合は所得税において配偶者控除があり、所得税の支払い額を少なくすることが可能です。
2020年の法改正において配偶者控除の額は、納税者の年収が900万円以下の場合48万円となっています。事実婚の場合はこの控除が受けられず、所得税の支払い額が多くなるのがデメリットです。
また、遺産相続においては配偶者税額軽減の対象となりません。これは、相続税の配偶者控除とも呼ばれ、配偶者に限定された遺産相続時における負担緩和の制度です。
相続税での軽減がない事実婚では、相続税が発生した場合、届出婚よりもはるかに多くの納税を求められる可能性があります。
遺産の相続権がない
法律上、事実婚関係にある2人の間には遺産の相続権は発生しません。そのため、もし事実婚の夫が亡くなった場合、夫が持つ遺産を相続する法定相続人は夫の身内になります。つまり、親や兄弟姉妹です。もちろん、妻が亡くなった場合も同様に、夫に相続権はありません。
互いに一緒に暮らしている中で、共に買うものはたくさん出てきます。家具や家電をはじめ、車に家など、かなり高価な物もあるでしょう。
けれど、亡くなった人の名義で所有していた品の全てが、相続するのは事実婚の相手ではなく、法定相続人になってしまいます。これは、かなり大きなデメリットですね。
婚姻に与えられたサービスを受けられない
正式に婚姻届を提出して夫婦になった場合、社会的にさまざまなサービスを受けられるというメリットがあります。例えば、夫が会社勤めなら、収入がなくても妻がクレジットカードを作れるといった具合です。
けれども事実婚の場合は、法的に婚姻関係にあるとは認められません。したがって、あくまでも単なるカップルとみなされます。
実態は結婚しているのと同じなのに、婚姻に与えられたサービスが受けられないのは、事実婚のデメリットと言えるでしょう。
内縁と混同されて色眼鏡で見られがち
事実婚のデメリットに、きちんと理解されていない点が挙げられます。中でも多いのが、「事実婚?ああ、内縁関係ね」という誤解です。
事実婚と内縁関係は似てはいますが、根本的に異なる点があります。まず事実婚は、結婚生活を共にする2人が意図的に「婚姻届を出さずに結婚する選択をした」ということです。
一方、内縁関係は「正式に結婚できない事情から、やむなく内縁関係になっている状況」を言います。
こうした違いを理解している人は少ないことから、「何か結婚できない事情があるのでは?」と色眼鏡で見られがちなところが、事実婚のデメリットと言えるでしょう。