パーソナルスペースの種類
パーソナルスペースには、いくつか種類があります。ここからはパーソナルスペースの種類について見ていきますので、シチュエーションに合わせて意識してみましょう。
公共距離
公共距離とは、複数の相手を見渡せる距離のことです。教壇に立って大勢の人を見渡せる程度の距離感で、お互いを認識することができます。顔見知り同士であれば、ほとんどの場合挨拶することになるでしょう。
初対面でも社長や会長など要職についている人と接する場合は、この程度の距離を保ちます。公共距離は、パーソナルスペースで最も外側に位置する距離です。相手の表情の細かい変化はわからず、小さな声も届きにくいでしょう。
公共距離で相手とコミュニケーションを取る場合は、大きなジェスチャーと大きな声で自分の意思をはっきりと伝えることを意識する必要があります。
社会距離
社会距離とは、公共距離よりやや手前のゾーンのことです。手を握るなど身体的に触れ合うことは難しいですが、お互いの声は十分に聞こえる距離になります。
同僚や上司などと仕事として接する際に最適な距離感です。営業先の相手と商談する場合も社会距離が適切でしょう。プライベートでも、初対面の相手と話をする際にはこの程度の距離が適しています。
社会距離は、パーソナルスペースが狭い人は特に不愉快には感じません。しかし、パーソナルスペースが広い人だと、この距離に人がいると不愉快に感じてしまう場合もあります。
個体距離
個体距離は、社会距離よりもさらに内側のゾーンのことです。このゾーンまで近づくと、手を伸ばして握手をするなど身体的に触れ合うことが容易になります。
相手の細かい表情の変化もわかるようになる距離感です。親しくない相手でもない限り、このゾーンに踏み込まれると不愉快に感じてしまうでしょう。
多くの場合、個体距離程度まで近づくと会話を強いられる雰囲気を感じるという人もいます。話をしないのであれば、なぜこれほど近い距離にいるのかの理由を探すでしょう。職場の同僚や友達なら話題を探しはじめるはずです。
また、満員電車など致し方ない状況で個体距離やそれ以上に他人と接近する状況もあります。このような場合は、可能な限り不愉快にならないように決して目を合わせようとしません。
密接距離
密接距離は、個体距離よりもさらに近い距離感のことです。この距離まで接近すると、抱きしめあったり、相手の頭や腕に簡単に触れられるようになります。
恋人同士など、よほど親しい間柄でなければこの距離まで近づくことはほとんどありません。会話が目的で接近する場合でも、これほど距離を詰めることはないでしょう。
柔道やレスリングなどでは、親しい間柄ではない相手と密接距離まで接近することがあります。これらの場合は事前にお互いが密接距離まで近づくことを理解しているので、パーソナルスペースに侵入されたことが理由で不愉快にはなりません。
ただし、了承していない相手に無許可で密接距離まで近づかれると、かなり高い確率でトラブルになってしまいます。片思いの人に少しでも近づきたいと考えていたとしても、何も了承を得ないまま密接距離まで踏み込むのは避けた方がよいでしょう。