「そつなくこなす」は褒め言葉とは限らない?
今回は、「そつなくこなす」について解説していきます。「そつなくこなす」とはどんな意味なのか、どんな人を「そつなくこなす人」と呼ぶのか、なんとなくのイメージではなく、正しい意味を理解した上で使えるようになりましょう。
そして、「そつなくこなす人」が出世しにくいと言われているのはなぜかなど、「そつなくこなす人」の特徴を捉えながら解説していきます。
「そつなくこなす」の意味や漢字は?
褒めているつもりでも相手が気分を害してしまえば、単なる悪口や嫌みになってしまいます。反対に、嫌みのつもりで「そつなくこなす」を使っても、相手が真意に気付かなければ、やはり意味がありませんよね。「そつなくこなす」について正しい知識を身につけ、正しい使い方をしていきましょう。
「そつなくこなす」はどういう意味?
「そつなくこなす」とは、何事もぬかりなく成し遂げることができる、という意味です。しかし、それだけではなく、何でも無難におさめる、ほどほどに物事に取り組む、という意味合いも含まれているのです。
前者の意味の場合は、褒め言葉と捉えることができるでしょう。しかし、後者の意味合いで使われた場合には、けなしや呆れを含んでいるとも捉えることができます。「そつなくこなす」と褒めるつもりで言っても、相手がそうとは受け取っていない可能性もあるのです。
そつなこくなすの「そつ」とは?
そつなくこなすの「そつ」は、一般的には該当する漢字がない、といわれています。そのため、当て字を使われることが多く、一貫性のない単語でもあります。
この「そつ」というのは、物事の終わりに関する言葉であるようです。失敗がない、手落ちがない、抜かりがない、などの意味から分かるように、物事の最終段階を示しています。
「そつなくこなす」の漢字
先に説明したように、「そつなくこなす」を漢字で表記しようとしても、該当漢字は定められてはいないようです。当て字として一番多く表記されるのは、「卒無くこなす」になります。「卒」と見ると、卒業などの単語を思い浮かべる人も多いかもしれませんね。「卒」は物事の最後を意味する漢字です。
「そつなくこなす」というのは、ぬかりなく成し遂げるという意味だと説明しました。そして、「そつ」とは物事の最終段階を示しています。これらのことから、「卒無くこなす」という漢字表記が当てられるようです。
「そつなくこなす」の類語
「そつなくこなす」の類語は、二種類の意義素で振り分けられます。
「欠けた部分や誤った部分がない」という意味での同義語には、「抜かりなく」「遺漏なく」「手落ちなく」などが挙げられます。またもっとシンプルな「ミスがない」といった言葉も、「そつなくこなす」の類語にあたります。
「物事を簡単に行うさま」という意味での同義語には、「容易に」「手ごたえなく」「すんなりと」「造作もない」などが挙げられます。こちらの場合、「簡単に」といった類語が頻繁に使われているでしょう。
使う場面によって、「そつなくこなす」の類語も違った単語を選ぶ場合があるのです。
「そつなくこなす」は褒め言葉?
ここまでで「そつなくこなす」の意味が、使う場面で大きく印象を変えることが分かりました。類語で見てみると一番わかりやすいのですが、詰めまでしっかり手抜きなくやる人と、手ごたえがないまま簡単に事を済ませる人とでは、同じ人とは思いにくいですよね。
一概に「そつなくこなす人」とは言っても、それが必ずしも褒め言葉として通るわけではないのです。時には嫌みを含んでいることもあるので、この言葉を使う時には状況をしっかり把握した上で口にしましょう。
特に自分が言われる場合は、どんな状況で言われているかを把握しないと、相手が本当に言いたいことに気付けなくなってしまいますよ。
そつなくこなす人の特徴って?
この他の特徴からも、そつなくこなす人を見分けることはできます。そつなくこなす人の特徴を挙げていきましょう。
器用
何でも器用にこなす人を、「そつなくこなす」と感じることってありますよね。器用とは、自分の思う通りに身体を動かせることです。そして、要領よく物事を処理することも意味します。そつなくこなす人を見ていると、悩む様もなく動いているでしょう。頭の中で十分に計画を立てて、要領よくこなしているので器用だと感じるのです。
そなつなくこなす人は、器用であると同時に、不器用な人を歯がゆく感じてしまいます。不器用な人のサポートをするのではなく、その仕事を代わりに引き受けようとすることも多く、それが嫌みに感じられることも。悪気があるわけではないので、深く考えない方がいいでしょう。
ある程度何でもできる
そつなくこなす人は、ある程度のことならなんでもできてしまいます。というよりも、できない事はしないのです。自分の中で物事に対しての計画を立てた時に、明らかにできないと感じたら手を出しません。
周囲からは、「あの人はなんでもそつなくこなす」と感じられ、まるでできないことなんかないように思えます。しかし、そつなくこなす人も人間ですから、できない事はちゃんとあります。できることをきちっとやって、できない事はやらない、ただそれだけなのです。
頭の回転が速い
頭の回転が速いという特徴も、そつなくこなす人には当てはまるでしょう。物事の優先順位を付けたり、作業の段取りを組むことを、スピーディーに的確にこなしてしまいます。そのため、実行に移ったあともすべてがスムーズで、集中してる分、効率よく済ませることができるのです。
そつなくこなす人の多くは、作業の合間に考えるよりも、作業の前に全ての下ごしらえを頭の中で済ませてしまいます。思い通りに進むわけではない事も知っているので、不測の事態に備えてもきちんと頭を回しています。手を止めて考える、それだけで頭の回転は速くなるのです。
向上心がない
仕事を効率よくこなしはするのに、残念ながらあまり向上心がないようです。そつなくこなす人は、目の前の作業をとにかく完璧に仕上げようとは考えますが、その作業によって更なる高みを目指しているわけではないのです。先のことよりも目の前のこと、それがそつなくこなす人の気分を満たす範囲です。
全く向上心がないわけではなく、それなりに目標をたてたりもするでしょう。しかし、夢や目標のために懸命に頑張るのではなく、「いつか叶えばいいかな」くらいの姿勢でいます。夢は夢、目の前のことをとにかくこなそうとするので、周囲には向上心がないように見えてしまうのです。
感情に振り回されない
感情に振り回されず、淡々としているという特徴も挙げられます。感情がないのではなく、集中していることを感情に振り回されて台無しにしたくない、と考えているのです。何よりも、そつなくこなす人は、「それはそれ、これはこれ」といった割り切りができてしまうので、乱れた感情に振り回されることはないでしょう。
そのため、恋人と喧嘩しても仕事に持ち込みませんし、朝から嫌なことがあっても一日を冷静に過ごすことができます。乱れた感情を鎮める作業は、完全にプライベートな時間になってから思い切りするでしょう。
プラス思考
プラス思考であることは、そつなくこなす人の長所ともいえる特徴です。そつなくこなす人は、自分の考え方が作業に大きく影響を与えることを知っています。自分がネガティブになれば、それだけで効率が悪くなり、作業の進みも格段に遅くなることを把握しているのです。
しかし、そつなくこなすためにプラス思考でいるわけではありません。プラス思考でいるからこそ、前に進むことだけに専念できます。ネガティブでいると、物事に対して意欲的にもなりにくいですよね。プラス思考でいる姿勢が、全ての効率化に有益になっているのです。
そつなくこなす人の仕事ぶり
そつなくこなす人は、周囲が持っているイメージ通りなのか、仕事ぶりの例を挙げながらみていきましょう。
ムダが無いので効率的
そつなくこなす人の仕事は、ムダがない分大変効率的です。「ここはどうしようか」などの迷いがないので、スムーズにテンポよく仕事を進めていく事ができます。作業に入る前にしっかり計画を立てているということもあり、ムダが生じないのです。
1から10までしっかり計画をたてていても、イレギュラーな事が起こると、一度は作業を中断せざるを得ません。しかし、そつなくこなす人は、そういった事態にもすぐさま対応することができるのです。
上手に手抜きができる
人が気付かないところで、上手に手抜きができるのがそつなくこなす人です。業務の合間に上手な息抜きができたり、仕事の中に「ここは省いていいかな」と思うところがあれば、上手に省きます。判断が素早く、状況をしっかり見ているからこそできることです。
普通、手抜きというとだらしないイメージがつきまといますよね。しかし、そつなくこなす人は、仕事に支障が出るような手抜きはしません。手抜きをしたせいで仕事が遅れれば本末転倒だ、と考えます。仕事が捗るようにするための、上手な手抜きなのです。
他人の仕事も気持ちよく引き受ける
自分の仕事だけではなく、他人の仕事も気持ちよく引き受けることができます。自分の仕事と頼まれた仕事を別にして考えるので、時間はそれなりに費やしますが、面倒だという認識は持ちません。
もともと、そつなくこなす人は目の前の作業に集中する性質です。誰かに仕事を頼まれたとしても、それが自分の何かを阻害するとは考えません。他人の仕事も自分の仕事に置き換えて、効率よくこなしていくでしょう。
人の見ていないところで努力している
一見、そつなくこなす人は淡々と作業をこなしているように見えますよね。しかし、人の見ていないところでの努力が多いのです。一人の時間に調べものをしたり、自分のタイミングで下準備を済ませたりと、とにかく効率のいいやり方を選んでいます。
人の目を意識してしまうと、作業の効率化ははかれません。誰かが見ているからではなく、その仕事をどうすれば効率よく進めていけるかを重要視しています。そのため、集中できる一人の時間の作業が増えて、人前では淡々と仕事を進めている姿が目立つのです。
そつなくこなす人のメリット
そつなくこなす人のメリットには、どんなものがあるのかを見ていきます。
何でも安心して頼める
器用になんでもこなしていく人を見ると、「この人には何でも頼めそう」と感じます。要領よく仕事を進めていく姿を見ると、頼もしく感じ、安心感までも覚えるでしょう。一つの仕事を頼む時にも、気兼ねなく依頼することができます。
また、そつなくこなす人は他人の仕事も快く引き受ける性格です。嫌な顔をしないで取り掛かってくれるので、仕事を頼む側も気持ちよくお願いすることができるでしょう。実際に「この人に頼まなければよかった」なんて思うこともないので、次もお願いしようという気持ちになれます。
仕事が速い
とにかく仕事が速いというメリットも、そつなくこなす人の美点です。ムダのない効率の良さで、着々と仕事をこなしていけるでしょう。仕事が速いということは、それだけ数もこなせるので、周囲の人にとっても助かる事なのです。
特にチームワークや共同作業が求められる場では、そつなくこなす人の仕事の速いが重宝がられるでしょう。仕事が速いことで余裕が生まれるため、そつなくこなす人だけではなく、周囲の人も安心感を覚えることができます。
要領がいい
要領がいい分、作業や仕事がはかどるだけではなく、トラブルを回避したりすることもできます。どうすれば無事に事が運ぶのかを知っているのです。同時に、どうすれば面倒が起きるのかも把握しています。これは、そつなくこなす人のメリットと言えるでしょう。
要領よく立ち回ることが、ムダを省くことに繋がることを知っているのです。主に自分のために、要領よく済ませたいと考えているでしょう。実際にそういった行動がとれるのは、分析能力に長けているからとも言えます。
仕事とプライベートを両立できる
オンとオフの切り替えがしっかりできることも、そつなくこなす人のメリットです。そして、仕事とプライベートを分けて考え、両立させることが得意です。仕事は仕事、プライベートはプライベートなので、どちらかを中途半端に疎かにすることもないでしょう。
そのため、仕事にもプライベートにも思い切り打ち込みます。その時にやるべきことを思い切りやるため、充実感が湧き、満足感も大きいでしょう。中途半端にしない分、消化不良やストレスも溜め込みにくくなります。これは、そつなくこなす人のメリットと言えるでしょう。
そつなくこなす人のデメリット
そつなくこなす人に見られる、デメリットの例を挙げていきましょう。
頼まれごとが増えがち
人から頼まれたものも、それを自分の仕事として引き受ける性格なので、頼まれごとが増えがちになっていきます。そつなくこなす人は、効率よく仕事を済ませるという特徴を持ちますが、許容量だってあるのです。頼まれごとが増えれば増えるだけ、損が増えていくことも少なくありません。
目の前の仕事を完了させるという目標のために、合間の手抜きが増える可能性もあります。優先順位を付けたとしても、ムダだと感じる部分はどんどんカットしていくことになるでしょう。仕事そのものが終わっても、満足度の低い仕事になってしまうのです。
できないと逆にマイナス印象
そつなくこなす人は、「あの人に頼めば大丈夫」という周囲からの期待を受けやすくなります。周囲は安心や信頼を寄せています。その分、期待通りにいかないと、逆にマイナス印象を与えてしまうのです。必要以上にがっかりされることだってあります。
期待が大きいと、期待を裏切られたときのショックは大きくなります。そもそもそつなくこなす人はあまり一生懸命取り組んでいるように見えないため、期待通りにいかないと、それまでの印象を全て台無しにしてしまうようです。
努力してなさそうに見られる
なんでもそつなくこなす人は、「目に見えて必死」という印象を与えません。なんでも淡々とこなし、人によってはマイペースに取り組んでいるようにも見えるので、努力とは縁のなさそうな印象を与えてしまうのです。
物事の過程は、その作業に携わる人にしか見えません。だからこそ、仕事に取り組む姿勢が重要視されます。成果を出せなくても、仕事に対して貪欲な姿勢でいると、評価されたり労われたりする人もいますよね。そつなくこなす人はそれとは正反対なので、どうしても「あの人は一生懸命努力している」という認識をしてもらいにくいのです。
飽きっぽい
一点集中型のそつなくこなす人は、飽きっぽいというデメリットを抱えています。頼まれたことはなんでもやるけど、自主的に何かをやるとしたら、手探り状態の人もいるでしょう。常に目の前のことに集中しているので、気移りもしやすいようです。
プライベートだけのことなら問題はなくても、人を巻き込んだりする時には要注意です。一つのことが長続きしなかったり、中途半端な状態で満足して気移りしていると、人としての評価も下がりやすくなってしまいます。これは短所として捉えられてしまうデメリットなのです。
そつなくこなす人が出世しにくい理由
しかし実際は、そつなくこなす人は出世しにくいとも言われているのです。なぜ出世しにくいと言われているのか、特徴を挙げながらみていきましょう。
器用貧乏な場合が多い
そつなくこなす人は、仕事に対しては器用でも、他のことには不器用といえます。一つの仕事をこなしても、それに見合うだけの報酬には興味がないので、ただひたすら仕事を繰り返していくだけの器用貧乏な人が多いのです。報酬に興味がないということは、出世にもあまり興味を示さないでしょう。
出世したい!という熱意に溢れる人は、それを目標に頑張ります。しかし、そつなくこなす人の場合はそうではなく、とりあえず今やっている仕事を片付けることにしか意識が向かきません。最初から出世に対する熱意に乏しいのですから、出世しにくいと思われても仕方ありません。
縁の下の力持ちポジションになってしまう
あまり目立たない仕事ぶりが特徴的ですが、慌ただしく仕事をこなすことよりも、落ち着いて淡々と進めることができるのが、そつなくこなす人です。そのため、他の人の手柄になってしまうことも少なくはないでしょう。つまり、気付けば縁の下の力持ちポジションになってしまっているのです。
自分がぐいぐいと前面に出て主張ながら仕事をすれば、誰もがそつなくこなす人を評価するでしょう。しかし、その主張そのものがないので、他の人の成果になってしまったとしても、周囲も当たり前のように受け入れてしまうのです。
誉め言葉だと受け取り、努力をやめてしまう
実はそつなくこなす人は、褒め言葉に弱いという特徴も持っています。褒められると「現状の自分で十分なのだ」と満足してしまい、努力をやめてしまうのです。仕事が途中の段階でも「よくここまでやったね」と褒められれば、「ここまででいいか」となってしまうんですね。
野心のある人は、褒められるほどに更なる高みを目指そうとします。いつまでも自分に満足することがないので、出世に必要なストイックさを失うことがないのです。逆に、そつなくこなす人は「自分は十分やった」という段階で歩みを止めてしまうので、出世には一向に近づけないのです。
ある程度のところで満足してしまう
褒められて満足してしまうように、ある程度のところで満足してしまうことも、そつなくこなす人が出世しにくい理由です。「出世したい」という気持ちがあれば、仕事の成果を残すだけではなく、上司や部下への配慮も忘れないものです。しかし、現状が円満であれば、それで十分だと感じてしまうのです。
仕事に関しても、ある程度のところで満足してしまうのですから、マニュアル以外のことは苦手という面もあります。自分で企画した仕事を周囲に評価してもらおうという熱意に欠けているので、仕事はできても出世はできない人、になってしまうのです。
そつなくこなす人は器用で不器用!
「そつなくこなす」を褒め言葉として捉えていた人は、そうとは言い切れないことも分かりましたよね。反対に、「そつなくこなす」を軽視できないということも分かりました。必死にがんばっているようには見えない場合が多いので、評価そのものも、どうしてもある程度のところで終わってしまいます。
そつなくこなす人自身、大きな高みを目指しているわけではありません。「目の前のことを完了させる」というシンプルな目標だけを見据えています。その中で満足度の高い人生を生きていくためには、「そつがない」の正しい意味を理解して受け入れていくことが必要でしょう。
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