いけずってどんな言葉か知ってる?
漫画・アニメ「ちびまる子ちゃん」や「クレヨンしんちゃん」でも劇中で「うぅん、いけずぅ~」と拗ねるシーンがよく出てきます。いけずとはどのような言葉なのか、その意味や語源、使い方などまとめてみました。
いけずってどういう意味?
いけずの意味
いけずとは、「意地の悪いさま」「憎たらしいさま」「つれない様子」を指す言葉です。会話の中では「あなた、いけずね」「いけずな人」「いけずされる」といった使い方をします。
現代、標準的に使われている言葉で考えると、いけず=意地悪という意味で使われると思って間違いないでしょう。
いけずの語源
いけずが使われるようになったのは江戸時代、もともとは大阪の洒落言葉だったようです。
いけずの語源として有力なのは、「池之端の芋茎(ずいき)」であるという説です。「いけのはたのずいき」が縮まって「いけず」となったと考えられています。
芋茎は里芋のは葉茎のこと。池之端の芋茎は池の養分や水分を独占しながら育ちます。他の植物に養分や水分を分け与えることなく自分ばかり得をするさまが意地悪であることから、いけず=意地悪という意味で使われるようになりました。
また、別の説としてはいけず=「行けず」ということで「通せんぼ」するような意地の悪いさまを表現しているともいわれています。
いけずの類義語
いけずの意味そのままで使われる「意地悪」のほか、「薄情」「つれない」「不親切」といった言葉も類義語といえるでしょう。
完全に相手を否定するのではなく、自分の気持ちをわかってくれなくて残念という思いを表現するときに用いることが多いです。そのため、悪人や犯罪者などに対する言葉ではなく、身近な人に対して使うケースがほとんどです。
いけずはどこの方言なの?
そう考えるといけずは全国的に使われる言葉なのか、それとも方言なのかわからなくなってしまいますが、実際のところどうなのでしょうか。
いけずは京都や大阪の方言
いけずは京都や大阪、兵庫など関西で主に使われる方言です。後ほど解説しますが、同じ関西でも、いけずの使い方が地域によって微妙に違っています。各地域での方言としてのいけずの意味や使い方を知っておくと、真意がわかるのでコミュニケーションがとりやすくなります。
方言だけど全国的に使う人もいる
ちびまる子ちゃんやクレヨンしんちゃんのように、関西人でなくてもいけずを会話に用いる人も全国的にいます。いけずという言葉を面白がって使ううちに、口癖になっているパターンが多いです。
全国的にこの方言を使う際には、ほとんどの場合本当に憎くて嫌だという意味ではなく、意地悪だけど憎めないといった際に使う言葉として認識されています。
地方によって違う?いけずの使い方
やんわりと相手を非難する
「ほんまにいけずやな」という言い方で、相手への非難の気持ちを表現。これは兵庫県でよく見られるいけずの使い方です。完全に嫌いとまでは思っていませんが、良くは思っていないというニュアンスです。
相手に対し非難する気持ちの度合いの高さは、いけずという言葉だけでなくその前後の言葉や口調から、真意を読み取るよう心がけるといいでしょう。
相手への好意を含む
一方、いけずと言いつつ相手のことが好きな気持ちがにじみ出ているケースもあります。特に大阪の女性が好きな男性に対し「もう、いけずやわ~」と喜びながら言うという場合、憎いけど愛おしい人という意味合いが強く込められています。
ちなみに兵庫でもこのような使い方は行われます。兵庫や大阪では、いけずは軽い非難・相手への愛情が含まれていることを踏まえ、その度合いは口調や会話のニュアンスで判断するといいでしょう。
本当に嫌い
軽い意味合いでいけずが使われることの多い兵庫や大阪に対し、気を付けたいのは京都の場合です。京都の人がいけずを使う場合、本当に憎い・嫌いという意味であることも多いからです。
京都では日本特有のオブラートに包んだ言葉をさらにやんわりと表現した京言葉というものが使われます。特に年配の人の言葉は京言葉がふんだんに使われ、真意がわかりづらいといわれています。上品な会話に見えるけれど、実際は毒を吐いていることも。
柔らかい言葉で実は激しく罵られている可能性もあるので、京都の人にいけずと言われたら勘違いしないよう注意しましょう。
いけずを使った例文を紹介!
もう、いけずぅ~
本気で怒っているのではなく、拗ねたような甘えた感じで言うのは、本当は好きよという気持ちの表れです。カップルで女性から男性に対して、ちょっと意地悪をされたときなどに使います。言い方や態度から、相手を非難しつつ喜んでいるようにも見える点がポイントです。
あいつほんまいけずやわ
真顔や憎たらしいといった表情で言い切るのは、本当に嫌だと思っているときがほとんどです。直接相手に言うこともありますが、このように相手がいない場所で第三者に向かって愚痴を吐く場合にもよく使われます。
いけずされた
こちらも第三者に愚痴るときによく使われる言い方ですが、意地悪なことをされたという意味です。カップルでじゃれている様子とは違い、チクっと嫌なことを言われたりされたりしたといった場面で、「いけずされた」となります。
「いけずな人」の特徴
また、自分もいけずという言葉を使ってみたいという時、誤用しないように気を付けたいものです。
そこで、「いけずな人」の特徴を押さえておけば、自分が該当する場合本当に非難されているのか判断できます。また、「いけず」を使う際にも役立てましょう。
揚げ足を取ってくる
人のあら捜しばかりしていて、ちょっとした間違いをすぐに指摘してくる人。正しいことをしているようにも見えますが、しょっちゅうこのように揚げ足を取られるといい気はしないものです。
人の優位に立ちたい、常に上から目線な態度はいけずな人と思われても仕方ありません。無意識のうちに揚げ足取りになっていないか心がけたいですね。
邪魔をする
意図的にうまくいかないように仕向けてくるのも、まさにいけずな人です。恋のライバルなど、三角関係になったときにわざと二人を引き裂くよう邪魔をしてくる人は、当事者からはかなりいけずな存在。
他にも、仕事や勉強の邪魔をする人など、わざと意地悪をする悪意あるいけずもいます。
協力してくれない
逆に何もしない代わりに助けてもくれないというのもいけずです。本当に余裕がなくて協力できないというのではなく、協力できない事情もないのに困っている人を見て見ぬふりしたり協力を拒んだりする場合、いけずな人と言えるでしょう。
意地悪なことを言う
いちいち小言を言ってきたりわざと傷つくようなことを言ったりするのも、いけずな人です。わかりやすい意地悪と違って、チクチクと嫌がらせしてくる部分に陰湿さがあります。昔の嫁いびりのような感じのいけずな人は、現代も潜んでいるので気を付けましょう。
「いけず」以外にも知っておきたい京言葉
他にも、やんわりと相手に毒を吐いている表現はいくつもあります。色気のある京言葉の本当の意味を理解しておくと、痛い目を見ずに済むでしょう。ここではよく使われる3つの京言葉をご紹介します。
「どないしはったん?」
「どうなさったの?」という意味ですが、単純に相手を心配しているときにだけ使う言葉ではありません。京都の人が「どないしはったん?」というときは、「頭大丈夫?」「気は確かですか?」と小馬鹿にしている場合もあるので要注意です。
本当に具合が悪い人を気遣っているときには態度で分かりますので、何気ない会話の中でサラッと「どないしはったん?」と言われたらチクッと嫌味を言われてると思っておくといいでしょう。
「堪忍しとくれやす」
こちらは「勘弁してくれ」という意味ですが、「~やす」という語尾の柔らかい印象から「嫌よ嫌よも好きのうち」と勘違いしてしまう人が多いです。
「本当に嫌だからやめてくれ」と言っている場合もありますので、相手の表情や態度をよく読み取るようにしましょう。
「楽しそうでよろしおすなあ」
そのままの意味で受け取ると、「楽しそうでいいですね」となるのですが、その裏には「うるさいな」「目障りだ」という意味が含まれていることもあります。
特にいい大人がどんちゃん騒ぎしている場面や、周りを気にせず大声で話している人たちを横目に、冷めた感じで「楽しそうでよろしおすなあ」とつぶやいていたら、「馬鹿じゃないのか」というのが本音である可能性が高いです。
言葉だけでなくその人の心を想像しよう
昔から伝わる方言には、相手にわかりづらいからこそ伝えづらい皮肉や嫌味を込めやすいもの。「いけず」な相手にやんわりと非難の気持ちを伝えるには、便利なツールでもあります。
言葉の裏側にあるその人の心を想像しながら、京言葉を含めわかりづらい日本特有の言い回しとうまく付き合うのが大人のたしなみではないでしょうか。
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