「ふてこい」って言われたけどどういう意味?
また、「ふてこい」と言った人の態度や表情、シチュエーションによって微妙に意味が変わってくるのも厄介なポイント。会話の文脈から「ふてこい」の真意を汲み取らなければなりません。
今回は「ふてこい」の語源や意味、使われるシーンなど、「ふてこい」にまつわるあれこれをご紹介します。「ふてこい」の意味が全く分からない人はもちろん、「ふてこい」をどう説明すればいいのかとお困りの関西の人もぜひご覧ください。
「ふてこい」は関西弁
冒頭でも述べた通り、「ふてこい」は関西地方で使われている方言です。関西出身の人にとっては共通語とも言えるほどポピュラーな言葉なんですよ。今この記事を読んで、「全国共通の言葉だと思ってた!」と驚いている関西人も多いのではないでしょうか?
関西圏の中でも、「ふてこい」は主に大阪を中心に使われています。一方、和歌山県や奈良県など少し大阪から離れた地域では通じない場合もあり、関西の中でも地域差があるようですね。
「ふてこい」の語源は「ふてぶてしい」
実は「ふてこい」は、形容詞の「ふてぶてしい」から派生している言葉です。そもそも「ふてぶてしい」とはどういう意味なのでしょうか?まずは「ふてぶてしい」の意味から確認してみましょう。
「ふてぶてしい」は「太太しい」と書き、「図太いこと、憎らしいほど図々しいこと」を意味します。ニヤリとした表情の「ふてぶてしい笑み」という表現はよく使われますよね。
「太い」が語源という説も
「ふてこい」の語源については、「ふてぶてしい」のほかに「太い」に由来しているという説もあります。「太い」は体型の大きさや声質の豊かさを表すだけではなく、態度の大きさを表現する際にも用いられます。
確かに、周りの批判を顧みずに平然としている人のことを「神経が太い」と言うこともありますね。つまり「太い」には「ふてぶてしい」に似た意味があり、そのため「ふてこい」の語源になっていると考えられているようです。
「図太い」から「態度が悪いこと」に変化
「ふてぶてしい」や「太い」が語源の「ふてこい」ですが、現代では少々意味が異なる様子。「図太い」のような相手の精神面を表す言葉というより、相手の態度を表現する言葉として使われています。
「ふてぶてしい」や「太い」の名残が残っている部分を挙げれば、相手をネガティブに評価する点でしょう。「図々しい」といった意味を受け継いでいるためか、「ふてこい」は相手の態度の悪さを表す意味を持っています。
「ふてこい」の意味
ここからは、「ふてこい」の持つ様々な意味をご紹介していきます。「ふてこい」と言われたことがある人は、ぜひそのシーンを思い出しながらご覧ください。
愛想が悪い
話しかけても反応が悪かったり、挨拶をしても会釈だけで済ませる人はいませんか?そのような無愛想な態度のことを、関西弁では「ふてこい」と言います。
この場合、会って話しているか、メールでやりとりしているかなど、直接対面しているかどうかは関係ありません。そのため、愛想が悪い態度は全て「ふてこい」に当てはまります。
腹が立つ
「ふてこい」には「腹が立つ」という意味もあります。人を馬鹿にする言動や失礼な振る舞いなど、腹立たしい態度は全て「ふてこい」と捉えて問題ありません。
関西人と話をしているとき、怒ったような表情で「ふてこいなぁ」と言われたら要注意。知らず知らずのうちに相手の機嫌を損ねる行動を取っていた可能性があります。
生意気
悪印象の態度を表す「ふてこい」は、「生意気」という意味も持っています。例えば、目上の人に対してマナーがなっていない人も「ふてこい」と言われてしまうでしょう。
立場をわきまえない言動など、目上の人が不愉快に思う態度は一般的に「生意気」と表されますが、関西地方では「ふてこい」も同じ意味を持っています。
図々しい
「ふてぶてしい」の名残りなのか、「ふてこい」には「図々しい」という意味合いも残っているんですよ。例えば、何においても自分だけがいい思いをしようとする厚かましい人を、関西圏では「ふてこい人」と表現します。
少し呆れた表情で「ふてこい」と言われてしまったら、図々しい行いをしていないか振り返ってみるのが身のためです。
関西弁でいう「ふてこい人」とは
それでは、悪い態度を表す「ふてこい」が「人」の前についたらどうなるのでしょうか?「ふてこい」の意味に続いて、ここからは関西弁の「ふてこい人」が持つ意味や特徴を解説していきます。
無愛想な人
愛想が悪く、何を言われても表情が変わらないような無愛想な人のことを、関西弁では「ふてこい人」と言います。ただし、ひとつ補足すると、口下手なだけなら「ふてこい」には当てはまりません。
「ふてこい人」と表される無愛想な人とは、話しかけられても無視したり、怒っているのか楽しいのか表情から読み取れないような人のこと。つまり、相手とのコミニュケーションを自ら遮断するような人が該当します。
自信過剰な人
ナルシスト気質で自信過剰なのも「ふてこい人」の特徴です。いつも自分の話しかしない人や、自慢話ばかりする人を思い浮かべてみましょう。
また、自尊心が強く他人を見下すような人も「ふてこい人」の範疇です。どことなく「ふてぶてしい」の持つ意味に通じるものがありますね。
可愛げがない人
「ふてこい人」には可愛げがない人も含まれています。では、そもそも「可愛げがない」とはどのような人を表すのでしょうか。
「可愛げがない」と言っても、それは決して見た目のことではありません。「可愛げがない」とは、内面や態度を表す言葉です。
例えば、常にツンケンした態度でどこか攻撃的な雰囲気を出したり、プライドが高かったり、可愛らしさがなく憎たらしい様子を意味します。
図々しい人
道で配られるティッシュを何往復もしていくつももらったり、並んでいる列に平然と割り込んできたり。そんな厚かましい振る舞いをする人を見かけたことはありませんか?
このような図々しい人のことを、関西弁では総じて「ふてこい人」と言います。「自分の利益だけを最優先に考えている人」と言い換えると分かりやすいかもしれませんね。
偉そうな人
常に自分ファーストで傲慢な態度を取る偉そうな人も、関西人からすると「ふてこい人」です。これは知り合いや友人同士の会話にとどまらず、店員さんなど見知らぬ人に対して偉そうに接する人も対象です。
レストランやカフェに行く機会があれば、周りを観察してみましょう。店員さんにタメ口で話す人や理不尽なクレームを言う人など、「ふてこい人」は意外と近くにいるものです。
態度が悪い人
誰かの好意に対して悪態をつくような態度が悪い人は、まさに「ふてこい人」の代表例です。そもそも「ふてこい」には見ていて腹が立つような振る舞いも含まれているので、態度が悪い人はまさに当てはまりますよね。
例えばあなたが誰かに親切にしてもらったとき、心無い言葉を返すなど悪い態度を取ってしまったなら要注意。相手が関西人であれば、心の中で「ふてこい人」とラベリングされている可能性があります。
関西人が「ふてこい」を使うのはどんなとき?
「彼女ふてこいわ」
「彼女にそっけない態度を取られたときは、『最近彼女ふてこいわ』と友達に愚痴ります」(25歳/男性)
「彼女から既読スルーされたり、LINEは返さないのにSNSを更新したりしていると、彼女のことを『ふてこいな』と思います」(24歳/男性)
このように、彼女が嫌な態度をしてきたときに関西人男性は「ふてこい」を使う様子。もちろん関西人女性も同様で、彼氏の態度が気に食わないときは「彼氏がふてこい」と表現します。
「ふてこい態度取られた」
「学生時代、一番前の席で堂々と居眠りしていたら、『ふてこい態度やなぁ』と先生に怒られました」(26歳/女性)
「店員さんの対応がぶっきらぼうで失礼なときは、『今ふてこい態度取られたな』と友達と話します」(26歳/男性)
「ふてこい態度」は、関西ではかなりメジャーな言い回しです。相手が誰であれ不快感を覚えたときは、多くの関西人が「ふてこい態度を取られた」という表現を使います。
「ふてこい言い方やな」
「偉そうな言い方をされたら、『ふてこい言い方やな』と言い返します」(23歳/女性)
「本気で怒ったときにも使いますが、冗談半分で言うときもあります」(26歳/男性)
相手の物の言い方に問題があるとき、その口ぶりを「ふてこい言い方」と表します。その一方で、ふざけ半分の発言に対して「ふてこい言い方やな」と笑いながら返すケースも。
後者の場合は怒っているのではなく、どちらかと言うと「ツッコミ」に近いです。関西人でないと区別が難しいですが、「ふてこい言い方やな」と言った相手の表情から察しましょう。
「なんでそんなにふてこいん?」
「相手が嫌な態度や発言をしたときは無条件で言ってしまうことが多いです」(28歳/男性)
「怒りレベルで言うと最大値のときに使います」(26歳/女性)
「なんでそんなにふてこいん?」は、標準語に直すと「どうしてそんなに態度が悪いの?」。なかなか直球な表現ですよね。それほど、「ふてこい」の疑問形には相手の不快な態度に対する怒りが詰まっています。
一方、こちらも上記と同じように冗談混じりで使う場合がゼロとは言えません。相手が笑いながら言ってきたなら、怒っているのではなくツッコミとして言っていると捉えてOKです。
「ふてこい」を英語で表現すると?
「無愛想」の意味で「unfriendly」
「親切な」を意味する「friendly」に、否定の接頭辞「un」がついた「unfriendly」という英単語。こちらは、「ふてこい」の持つ「無愛想」という意味にぴったりと当てはまる英語表現です。
他にも「unfriendly」には「薄情な・敵意のある・愛想の悪い」という意味があります。まさに不快な態度を表す「ふてこい」とイコールの関係と言えますよね。
「図太い」の意味で「bold」
「bold」は「大胆な・勇敢な」という意味を根幹に持つ英単語です。語源は、「吹く・膨れる・膨らむ」を意味するインド・ヨーロッパ祖語の言葉です。そこから「たくましい」を意味するゲルマン祖語の言葉へと派生し、「図々しい・図太い」という意味につながりました。
「偉そう」の意味で「bossy」
「ふてこい」には「偉そう」という意味が含まれていますが、それにあたる英単語といえば「bossy」です。「bossy」は「偉そうな・威張り散らす」という意味を持っています。
例えば、日本語では上司のことを「ボス」と言ったりしますよね。これは英語の「boss」から来ていますが、「y」を語尾につけることで「上司のように偉そうな人」という意味になります。
「生意気」の意味で「saucy」
英単語の「saucy」は、「生意気な・図々しい」という意味を持つ形容詞です。「生意気な人」のことを「ふてこい人」というように、「saucy+〇〇(人・振る舞いなど)」で「生意気な〇〇」という意味になります。
「ふてこい」=「しらこい」?
続いては、「しらこい」の意味や使い方を確認してみましょう。
「しらこい」の意味
「しらこい」にぴったりと当てはまる形容詞は、「しらじらしい」です。もう少しカジュアルに表現するなら、「しれっとしている態度」というと分かりやすいでしょう。
知っているのに知らないふりをされたり、しれっとした顔で嘘をつかれたりすると、関西人は「しらこい」と感じます。
「しらこい」の使い方
「しらこい」は「しらじらしい」と同様に形容詞として扱います。「しらこい人」「しらこい態度」が代表例です。
会話中によくあるシーンを挙げると、例えばあなたが関西人相手に何か平然とした顔で嘘をつき、相手もそれが嘘だと分かったとしましょう。そのとき、相手の関西人は「しらじらしい」の意味を込めて「なにしらこいこと言うてんねん」などと言うかもしれません。
「ふてこい」と「しらこい」の違い
整理すると、「ふてこい」は主に「ふてぶてしい・図々しい」という意味を表します。また、「しらこい」の意味は「しらじらしい」です。
どこか似ているような気もしますが、違いを分けるポイントは「嘘」が含まれているかどうか。「ふてこい」は相手に不快感を抱かせる態度全般を含みますが、嘘をついているかどうかは関係ありません。
一方で「しらこい」は、「知っているのに知らないふり」のように、平然と「嘘」をつく様子全般を表します。これが「ふてこい」と「しらこい」の決定的な違いです。
「しらこい」にはツッコミの意味もある
「ふてこい」と共通する点として、「しらこい」はツッコミとしても使われます。例えば、よそ見をしている友人と2人でいるとき、反対側から肩をトントンと叩くいたずらを仕掛けたとしましょう。
友人は「肩叩いたやろ」と言いますが、あなたは「知らない」ととぼけます。すると、友人は笑いながら「しらこいなあ」と言いました。
この場合の「しらこい」には嘘を非難する意味はありません。どちらかというとツッコミの要素が大きく、親しい者同士の冗談として使われます。
「しらこい」を英語で表すと
「しらこい」の英語表現には、「しらじらしい」を意味する「shamelessly」という英単語が当てはまります。一方で、「shamelessly」には「いけしゃあしゃあ・厚かましく」という意味もあり、これはどちらかというと「ふてこい」にも通じる表現です。
日本語の「ふてこい」と「しらこい」には微妙なニュアンスの違いがありますが、英単語の「shamelessly」として見ると、両者は同様の意味を持つようです。
他にもある「○○こい」の方言
「なれこい」
「ふてこい」「しらこい」と同様に、「なれこい」も関西地方の方言です。標準語でいうところの「馴れ馴れしい」という意味を持っていて、宮城などでも使われているようです。
例えば、初対面なのに距離感が近い人は「なれこい人」と表現されます。他に「なれこい態度」「なれこい言い方」も代表的な使い方です。
「ひやこい」
関西圏を中心に使われる「ひやこい」には、「冷たい」という意味があります。大阪・奈良・和歌山のほか、徳島にも広まっている方言です。
また、似ている表現として、福島・埼玉・静岡などでは「ひゃっこい」という言葉が使われています。こちらも「ひやこい」と同じく「冷たい」という意味です。
どちらも「ひやこい・ひゃっこい+◯○」の形をとり、◯◯には人や態度、言い方などが当てはまります。例えば「冷たいお茶」なら、「ひやこい・ひゃっこいお茶」と表現されます。
「めんこい」
「めんこい」とは、北海道や東北地方で広く使われている方言の一つです。どちらかというとメジャーな方言なので、テレビや雑誌などで目にしたことがあるのではないでしょうか。かなり広く知られているがゆえに、「めんこい」と名付けられた商品もあります。
「めんこい」には「可愛い・可愛らしい」という意味があり、語源は「愛し(めぐし)」という古語です。ペットや子供、服や顔など、可愛いもの全般に使えます。また、小さな子を褒めるときには「めんこいな(偉いな)」と言うケースもあります。
「やにこい」
主に関西圏に伝わる「やにこい」は、地域によって異なる意味を持つ方言です。例えば京都・兵庫では、「やにこい」は「弱々しい・壊れやすい」という「か弱さ」を意味します。
一方、奈良県では「弱さ」のニュアンスが少し変わり、「粗悪で貧弱な」という意味です。さらに和歌山県では、「ものすごい」という風にガラッと意味が異なります。
例えば京都で「あの人、やにこいわぁ」と言うと「あの人、弱々しいなぁ」という意味ですが、場所が和歌山県なら伝わり方は180度変わるでしょう。というのも、和歌山県では「あの人、ものすごいなぁ」と凄さを伝える意味になるからです。
「しなこい」
福島県には「しなこい」という方言が伝わっています。「しなこい」は形容詞の一種で、「柔らかくて弾力性がある」という意味です。
シチュエーションとしては、主に食べ物の食感を表すときに使われます。例えば、「このホルモンはしなこいから噛み切れない」という表現のように、食事中に使用されることが多いです。
「ふてこい」を上手に使って会話を楽しもう!
ここまで意味や実際の使い方を見てきたことで、パッと聞いただけでは理解できなかった「ふてこい」も、なんとなく意味が分かってきたのではないでしょうか?また、本気で怒っている場合と冗談の違いについても区別がつくはずです。
もし関西出身の方と会話する機会があれば、「ふてこい」について話題を振ってみるのもいいでしょう。「方言を知ってくれているんだ」と相手の気分が良くなり、会話がもっと盛り上がること間違いなしです。
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