「婿入り」の実態とは?メリット・デメリットや婿養子との違いも!

「婿入り」の実態とは?メリット・デメリットや婿養子との違いも!

もしも結婚したい女性から婿入り婚を望まれたら、それを受け入れることはできますか?突然婿入りの話が出れば、戸惑う男性も多いでしょう。そこで今回は、婿入り婚の実態や、メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。婿養子との違いも見ていきましょう。


そもそも「婿入り」ってどんな意味?

「嫁入り」という言葉の意味を知っている人は多いでしょう。それでは、「婿入り」とはどのような意味かご存じでしょうか。婿入りについてご紹介する前に、まずはどのような意味なのかを見ていきましょう。

「婿入り」の意味


婿入りは、結婚して妻の苗字を名乗ることを意味します。婚姻届けには夫婦のどちらの姓を名乗るかを選択する欄がありますが、婿入りの場合は「妻の姓」を選ぶことになるのです。

また、婿入り婚には、妻方で結婚祝いをあげ、妻方で結婚生活を送るという意味もあります。珍しいことだと思うかもしれませんが、実は昔の日本では婿入り婚が一般的だった時代もあるのだそう。

しかし、現代では嫁入りの方が圧倒的に多いのが現状です。ちなみに、妻方で結婚生活を送るといっても、妻の実家に住むことが婿入りの条件というわけではありません。同居の有無に関わらず、結婚して男性が女性の苗字になるのが「婿入り」なのです。

「婿養子」との違い


「婿入り」と聞くと、「婿養子」が思い浮かぶ人も多いのではありませんか。似ているようですが、実は「婿入り」と「婿養子」には違いがあります。

婿養子は「養子」というだけあって、妻の実家の養子になることを意味します。例えば女性の実家の跡取りとして迎えたいという場合、男性が家を継ぐために「婿養子」という選択をすることがあるのです。

婿養子になるには、婚姻届を提出する前、または同時に「養子縁組届」を提出しなければなりません。女性側の苗字を名乗るということでは婿入りと同じですが、妻の親の遺産を相続する権利が発生するなど、実家との結びつきは婿養子の方が強くなります。

出典:デジタル大辞泉(小学館)『婿入り(むこいり) の意味』
https://dictionary.goo.ne.jp/word/婿入り/#jn-214930

【男性目線】婿入り婚賛成派の意見

結婚したら、妻が嫁入りするのが当たり前だと思っていた男性もいるでしょう。しかし、中には婿入りを選択する人もいるのです。それでは、婿入り婚賛成派の意見を見ていきましょう。

特にこだわりはないので婿入りでも全然OK


「婿入りか嫁入りかで、特にこだわりは無いです。結婚相手が婿入りを希望するなら受け入れます。それに、自分は次男で家を継がなくてもいいので気軽な感じです。婿入りで苗字が変わるのも、そんなに抵抗ないですね」(28歳/男性/飲食業)

婿入り賛成派の中には「こだわりなし」という意見も。婿入りすると男性側が苗字を変えることになりますが、そこも抵抗なく受け入れられるのなら、彼女に安心してもらえるでしょう。

ちょっと抵抗はあるけど彼女が望むなら


「婿入りすると自分の苗字が変わるので、ちょっと抵抗はあります。職場の同僚も友人も、みんな結婚したら奥さんの方が苗字を変えているので…。でも、彼女が望むのなら仕方がないかなと思って受け入れます」(30歳/男性/製造業)

婿入り賛成派の中には、「しぶしぶ賛成」「仕方がないので」という人もいます。しかし、彼女が望むならと受け入れる男性もいます。

彼女と結婚できるなら婿入りで構わない


「彼女の両親から、『結婚するなら婿入りしてほしい』と言われました。それまでは嫁入りが当然だと思っていて、正直自分が婿入りするなんて夢にも思っていませんでした。

実家は兄が継いだので、自分は婿入りでも問題ありません。拒否する理由もないですし、彼女と結婚できるならと思って、婿入りを受け入れました」(32歳/男性/美容師)

何らかの理由で、妻の実家から婿入りを提案されることもあるでしょう。婿入りを受け入れて結婚するか、受け入れられないから結婚しないか、という選択になってしまいますね。しかし、大好きな彼女と結婚できるなら構わないという男性も多いはずです。

両親が理解してくれれば婿入りしてもいい


「婿入りすると苗字が変わることになりますよね。それを自分の両親がどう思うかが気になります。自分としてはあまりこだわりがないので、両親が理解してくれれば婿入りでもいいと思います」(29歳/男性/介護士)

嫁入りの方が圧倒的に多いため、やはり抵抗があるという人もいます。自分はよくても、実家が婿入りを反対することもあるでしょう。そのため、両親の理解があれば婿入り婚でもいいという男性もいるのです。

【男性目線】婿入り婚反対派の意見

賛成派の中にも、「本当は抵抗がある」「仕方がないから」という意見があります。それでも結婚できるならと婿入りを受けれる人がいる反面、反対という意見もあります。ここでは、婿入り婚反対派の意見をご紹介します。

長男なので両親が反対すると思う


「長男なので、婿入りは両親が反対すると思います。やっぱり長男に家を継いでほしいと思っているようなので。

だから、結婚相手に婿入りを頼まれたら本当に困ると思います。自分としても、両親の反対を押しきって婿入りすることはできないです」(30歳/男性/サービス業)

長男の場合は、両親から反対される可能性は高いでしょう。子供の頃から家の跡継ぎとして育てられた場合は、特に婿入りを受け入れてもらえないことがあります。両親が反対している中で婿入りするのは難しい選択かもしれませんね。

男なのに苗字が変わるのは嫌かも…


「結婚したら女性が夫の苗字になるっていうパターンが多いですよね。自分の周りもそうなので、正直男なのに苗字が変わるのはちょっと嫌です。

女性は結婚したら苗字が変わるのが当たり前みたいに勝手に思っていて、自分は死ぬまで同じ苗字のままのつもりでいるから、これまで名乗ってきた苗字が変わるのに抵抗があります」(33歳/男性/営業職)

結婚したら女性が嫁入りするものだと思っている男性は少なくありません。婿入り婚は少数派なので、男性が苗字を変えることに抵抗を感じる男性も多いでしょう。

家庭内で肩身が狭くなりそう


「婿入りしたら妻が主導権を握りそうですし、家庭内で肩身が狭くなりそうな印象です。相手の両親にも気を使いながら生活しないといけないかな…とか不安もあります。

自分の居場所がなくなるのは嫌ですね。婿入り婚でも同居じゃなければまだいいですが、同居だったら断ると思います」(30歳/男性/介護士)

嫁入り婚でも、夫の家族に1人で入っていくことに不安を感じる女性は多いもの。婿入りはその逆ですが、婿入りが珍しいことや「男なのに」という思いから、肩身が狭くなるのではないかと心配する人もいます。

相手の実家に合わせられるか不安


「苗字が変わるのはいいですが、相手の実家に合わせられるかが不安です。自分の実家としきたりやルールが違うこともありそうですし…。

婿入り婚自体が周りに全然いないので、相談もできないと思います。もしも結婚相手が婿入りを望んできたら、躊躇してしまいますね」(28歳/男性/教師)

嫁入り婚で女性が不安に思うことのひとつが、相手の実家との付き合いです。男性も、婿入り婚となれば同じことを不安に思うでしょう。

婿入り婚を選んだ理由とは?

婿入り婚には賛成派・反対派がいることがわかりましたね。賛否はともあれ、少数派である婿入り婚を選んだ夫婦は、なぜその選択をしたのでしょうか。

男性が外国人だったため


男性が外国人という理由で、婿入り婚を選択することがあります。結婚して日本で生活する場合、日本の苗字の方が何かと便利なことも。

また国際結婚の場合、男性側も婿入り婚ということをあまり気にしないことが多いようです。これからも日本に住み続けるのなら、生まれてくる子供にとっても日本の苗字の方が都合がいいと考えるのかもしれませんね。

女性側の跡継ぎが途絶えるため


婿入り婚の理由で多いのが、女性側の跡継ぎの問題です。その家に娘しかいない場合は、その中の誰かが跡継ぎにならないと家が途絶えてしまいますね。

このパターンでは婿養子という形をとって、夫となる男性が跡継ぎになるということもあります。養子縁組をして婿養子になれば相続権も得られますからね。

末っ子で家を継ぐ必要がなかったから


男性が末っ子で家を継ぐ必要がないということで、婿入り婚をする男性も。すでに家を継いだ兄弟がいれば、両親が嫁入り・婿入りにこだわらないこともあります。両親の理解があれば、あとは自分次第ということですね。

ひと昔前の日本では兄弟がいる世帯が多かったですが、近年ではひとりっ子の割合が増えているようです。そのため、女性がひとりっ子だからできれば婿入りを…というパターンもあるでしょう。

男性が末っ子なら、相手の要望に合わせて婿入りを選択することもできるでしょう。また、多くはないものの、女性が自分の苗字を変えたくない、仕事上不便という理由から婿入りを望むパターンもあります。

実家と距離を置きたかったから


婿入り婚の理由のひとつに、男性が実家と距離を置きたいというものも。例えば両親との関係が悪い、親が離婚や再婚を繰り返している、兄弟仲がとても悪いといったことです。

子供のころからそういった環境で育つと、実家への愛着が薄れてしまうことも。トラブルが多ければ、距離を置きたいを思うことも多いでしょう。そのため、結婚を機に苗字を変えて実家から離れようとすることもあるのです。

出典:厚生労働省『国民生活基礎調査』(2019年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/02.pdf

婿入り婚のメリット・デメリット

婿入り婚をした場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。現代の日本では少数派の婿入り婚ですが、いい面もあるのです。

【メリット】嫁姑問題があまりない


好きな人と結婚して幸せなこともたくさんあります。しかし、嫁姑問題に悩む人も多いのが現実です。男性にとっては大切な母親でも、女性にとっては元々は他人ですから。

結婚して嫁姑という関係になっても、これまでの育った環境が違えば価値観も異なります。そして、嫁姑問題が勃発すれば、間に挟まれるのは男性ですね。そうすると、「母親のことも大切だけど妻の味方もしたい」という板挟みの状態になってしまいます。

しかし、婿入り婚なら嫁姑問題があまりないというメリットがあります。結婚したとはいっても嫁ではないので、妻の実家のルールに従わなくても大目に見てもらえることが多いです。その分、嫁姑がぶつかることも少なくなるでしょう。

【デメリット】男性側の手続きが大変


婿入り婚のデメリットのひとつは、男性側の手続きの大変さです。まず、苗字が変わるため、仕事で関わる人にそれを知らせないといけないですね。名刺も新しくすることになるでしょう。

また、運転免許証や健康保険証も苗字の変更が必要です。嫁入りした女性も結婚すれば同じように手続きをするものの、苗字を変えることで「結婚しました」と誇らしく思えるという人もいます。

しかし、日本での婿入り婚は少数派なので、男性の場合は、結婚に付随する手続きを面倒に感じてしまうかもしれません。

【メリット】同居なら家事・育児を手伝ってもらえる


婿入り婚で妻の実家で同居する場合は、家事や育児を積極的に手伝ってもらるのもメリットでしょう。嫁入りでは、同居すれば妻が家事を担うことが多いですが、婿入りしたからといって家のことを婿にやらせる家はほぼありません。

子供が生まれれば妻は自分の親に育児を手伝ってもらいやすいでしょうし、育児や家事を協力してもらいながら共働きもしやすいです。それに休みの日に家事を手伝わなくても、妻から「もっと家事をやって!」と怒られる心配が少ないでしょう。

【デメリット】婿養子なら両家の扶養義務が発生する


先ほどお伝えしたように、婿入り婚は苗字を変えることですが、婿養子は妻の実家の養子になることです。つまり、養子になれば扶養義務が発生することになります。

結婚しても自分の実家の扶養義務があるため、婿養子になれば両家を扶養しなければならなくなるのです。何事もなければいいのですが、介護が必要になったときに負担が増えることがあるでしょう。

【メリット】婿養子の場合は妻の実家の相続権が発生


先ほどデメリットのところで、婿養子の場合は両家の扶養義務が発生するとご紹介しました。デメリットがある反面、婿養子は妻の実家の相続権があるというメリットも。

養子に入るということなので、妻と同じく遺産をもらえる権利があるのです。そもそも婿入りや婿養子を相手の実家が望む場合、家を途絶えさせたくないという理由があります。

そのため、婿養子をとる家は、代々続く家柄や土地を持っているというパターンが多いのです。ただし、婿養子ではなく婿入りでは相続権が発生しないので注意してください。

【デメリット】離婚のときは手続きが大変


先ほど、婿入り婚は手続きが大変とご紹介しました。結婚して苗字が変わるときの手続きの面倒くささだけでなく、万が一離婚した場合にも手続きが大変だということを知っておくといいでしょう。

離婚すれば、男性はもとの苗字に戻ることになりますが、仕事上でまた苗字の変更を伝えていかなければなりません。嫁入りの場合は、離婚しても男性が苗字の変更などで手続きをすることはありません。

しかし婿入りは、苗字の変更ととともに離婚を周りに知らせることになってしまいますね。婿養子の場合、養子縁組を解消する手続きも必要なので、さらに大変になるでしょう。

婿入り婚をする前に!気をつけたい点

婿入り婚をするときは何を気をつけたらいいのでしょうか。結婚は本人同士のこととはいえ、それでも両家のことを気にしなければなりません。ここでは、婿入り婚で気をつけたい点をご紹介します。

お互いの両親と事前にちゃんと話し合っておく


婿入りをする場合は、お互いの両親と事前に話し合っておくことは不可欠でしょう。彼女の実家が婿入りを望んでも、自分の実家が理解してくれないこともあります。ちゃんと話し合っておかなければ、後々わだかまりを残したりトラブルになることも。

お互いの両親が理解を示してこそ、婿入り婚は上手くいくものなのです。ちなみに婿入り婚の結婚式では、招待状や名前の読み上げは妻が先です。嫁入り婚とは反対なので、違和感を覚える人もいるかもしれませんね。

自分は気にしていなくても、両親が「それはちょっと嫌かも…」と思う可能性もあるので、こういったことにも配慮が必要です。婿入り婚をするなら、結婚式や結婚後の生活についてもちゃんと話し合うことをおすすめします。

しっかり納得してから話を進める


結婚しよう!と気持ちが高まっていても、婿入り婚の話になれば男性は戸惑うこともあります。例えば、嫁入り婚で妻が夫の両親と同居しなければならない場合、納得しないまま話が進むと不満に思う女性は多いです。

それと同じく、婿入り婚も男性が納得してから話を進めないと、気持ちが冷めたり結婚自体に疑問を抱いてしまうことも。納得せずに話を進めらたら、自分や実家の両親をないがしろにされていると思ってしまいますよね?

そうならないようにするには、男性がしっかり納得した状態で、気持ちを確認しながら話を進めることをおすすめします。

相手の家柄や決まり事を把握しておく


婿入り婚をするのなら、女性の実家の家柄や決まり事を把握しておく必要があります。婿に入れば、妻の実家の行事や親戚の集まりにも積極的に参加することになるからです。

家柄だけでなく、地域の付き合いもあるため土地柄も知っておくといいですね。婿入りをすると、これまで育った環境とは異なり戸惑うことも。結婚前に家柄や決まり事を確認しておけば、心の準備もできるでしょう。

仕事で苗字の変更をする


婿入り婚をすれば、男性の苗字が変わることになります。そのため、仕事上でも苗字の変更が必要になりますね。詳しくは、先ほど婿入りのデメリットのところでご紹介しました。

結婚後、仕事関係で苗字の変更がスムーズにできるよう、入籍前に職場での手続きを確認しておくといいでしょう。名刺も新しいものを作成しておけば、結婚後にすぐに渡すことができますね。

最近では、結婚して苗字が変わっても旧姓のまま仕事をする女性もいます。もしも職場がそれを許可しているのなら、婿入り婚をしてからも旧姓で仕事をするという方法もありますよ。

婿入り婚は少数派!両家でしっかり話し合って!

今回は婿入り婚についてご紹介しました。様々な夫婦の形があるものの、日本では嫁入り婚が多く、婿入り婚は少数派です。

婿入り婚をするのは女性の実家を途絶えさせないためという理由が多く、好きという思いだけではすぐに決断できないでしょう。しかし、婿入り婚にはデメリットだけでなくメリットもあります。相手の両親から大切にされることも多いです。

ぜひこの記事を参考に、婿入り婚の実態や注意点を知ってくださいね。戸惑いがあるかもしれませんが、両家でしっかり話し合いをして納得できれば、きっと幸せな結婚生活が待っていますよ。

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