自己嫌悪に陥る人の特徴や原因は？克服方法やNG言動についても解説

自己嫌悪という言葉を知っていますか？多くの人は、イメージとして「自分を責めること」と解釈しているのではないでしょうか。では、あなたはそんな自己嫌悪に陥ったことがありますか？

自己嫌悪の「嫌悪」とは、憎み嫌うことを意味します。そこに、自分自身を指し示す「自己」という言葉が前につき、自己嫌悪とは「自分自身を憎み嫌うこと」となるのです。

今回は、そんな風に自分自身に嫌気がさして疎んじてしまう、自己嫌悪について解説していきましょう。自己嫌悪に陥る人は、なぜそうなってしまうのか…。自己嫌悪に陥りがちで悩んでいる人は、是非参考にしてみてくださいね。

出典：コトバンク『自己嫌悪（読み）ジコケンオ』
https://kotobank.jp/word/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AB%8C%E6%82%AA-518675

それでは、まずはじめに、人がどんな瞬間に自己嫌悪を感じるのか体験談をみていきます。自己嫌悪を感じる瞬間というのは、感情的になっている状態から、冷静になることが多いもの。

その感情的になる瞬間や、性格によって、どんな自己嫌悪に陥るかも違ってくるでしょう。「わかるわかる」と思う瞬間もあれば、「そんなことで？」と思う瞬間もあるはず。実際に自己嫌悪に陥った事がある人の意見を紹介します。

自分の一言で場の空気が悪くなった時

「それまで普通に盛り上がっていたのに、自分がなんとなく発した一言で場の空気が凍り付いてしまった。『余計なことを言った』と自己嫌悪した時にはもう遅かった」(27歳/男性/飲食業)

「友達で集まって、一人の子の失恋話を聞いていた時『たいした悩みじゃないよ』って元気づけるつもりで言ったんだけど、その場が静まりかえって『しまった』と思った…言葉の選び方がもっとあったのに…」(28歳/女性/事務職)

自分では何の気なしに口にした言葉でも、その一言が空気を悪くしてしまった時、気まずさもありながら自己嫌悪に陥る人はいるでしょう。極端な言い方をすれば、楽しい空気をぶち壊してしまうようなもので、自分が「余計なことを言った」と思うはず。

せっかくの雰囲気を台無しにしてしまった時、自分のことがイヤになってしまうのでしょう。

必要以上に子供を叱ってしまった時

「子供のやることだと分かっているのに、言う事を聞かない子供を必要以上に怒鳴ってしまって自己嫌悪。後から『怒鳴ることないじゃん』って思って、自分が情けない」(32歳/男性/会社員)

「一度怒り出すと止まらなくて、結局ヒステリックに叱ってしまう。子供が怖がる顔を見て我にかえるけど、すごく自己嫌悪。子供の寝顔を見ると更に大きな自己嫌悪で、申し訳ない気持ちでいっぱいになる」(29歳/女性/専業主婦)

「子供のすることだから…」と、分かってはいても、咄嗟の出来事に声を荒げてしまうパパやママも多いのではないでしょうか。ですが、感情的になって叱り過ぎてしまったあと、冷静になってみると「あんなに叱ることなかった…」と自己嫌悪に陥ることもあるはず。

子供相手となれば、余計に大人げなかったと落ち込むパパやママもいるかもしれませんね。

恋人と喧嘩をして心にもないことを言ってしまった時

「ちょっとしたケンカが大ゲンカに発展、つい感情的になってどうでもいいことまで持ち出してしまった。ケンカとは関係ないことでも彼女を責めてしまって、後から猛烈な自己嫌悪…」(30歳/男性/自営業)

「彼氏の仕事でなかなかデートが出来ない時に、わがままばかり押し付けてしまった。最終的に『大嫌い』まで言ってしまって…なんであんな心にもないことを言ってしまったのか、自己嫌悪に陥ってしまった」(28歳/女性/事務職)

喧嘩をした時に感情的になってしまい、売り言葉に買い言葉になってしまう経験は、どんな人でもしたことがあるでしょう。そして、その言葉がいき過ぎて、相手を傷つけてしまうことも。

心にもない言葉を言って、相手が傷つく姿を見てからそのことに気付き、自己嫌悪に陥るパターンも少なくはないようです。

一度決めたことを最後まで貫けなかった時

「自分の中で決めた課題を貫けなかった時に『自分はダメなやつだ』と自己嫌悪に陥ってしまう。そうやっていつも中途半端な自分が心からイヤになる」(29歳/男性/公務員)

「一度決めたことなのに、いつも最後までやり通すことができない。それこそダイエットだって長く続かない。そのたびに自己嫌悪に陥って、どんどん自信を失くしてしまう…」(28歳/女性/飲食業)

自分で決めたことであれば、最後まで貫いてこそ自信になるもの。それなのに、中途半端で諦めてしまうのは、自己嫌悪の要因にもなるようですね。理想として、目標を貫きたいと思うからこそ、挫折してしまう事で自分のことを情けないと憎んでしまうのかもしれません。

自己嫌悪に陥る時、そこには何かしらの原因があるもの。残念ながら、自分のことを憎み嫌ってしまうわけですから、ポジティブな原因とは言えないでしょう。苦い経験をしたり、目標に届かなかったり、挫折したり…ネガティブな原因が引き金となってしまうようです。

中でも、「よくある」とされる原因は、多くの人が経験していることでしょう。ここでは、その「よくある」原因を４例ご紹介していきます。

自己嫌悪に陥りがちな人は、自分も同じ原因からそうなってしまっているのかも。それでは、どんな原因が自己嫌悪に陥るきっかけになるのか、みていきましょう。

理想と現実の差がある

自己嫌悪に陥る時には、理想通りにいかないという原因も挙げられます。自分の中できちんとした理想を持っているのに、現実はその通りにいかずに、「自分はダメなやつなんだ」と卑下してしまうのです。

自分が思い描いた理想通りにいけば、それだけの満足感が得られますよね。ですが、実際に現実との差が生まれてしまえば、自信をなくしてしまうもの。「こうしたい」という理想が大きければ大きい人ほど、そうは出来なかった時の挫折感を大きく感じ、自己嫌悪に陥ってしまうのでしょう。

嫌いな人と自分が同じ性格になった

嫌いな人や、苦手な人を見た時に「自分は、同じ人間にはならないぞ」と思ったことはありませんか？自分が苦痛な思いをした分、その人に対してマイナスなイメージを持つことでしょう。そして、同じ人間になってしまうことで、自分の価値は下がってしまうと思うのです。

そんな嫌いな人と同じことをしている、同じ様な人間になってしまっている…。それもまた、自己嫌悪に陥る原因の一つになってしまっています。なりたくない人間になってしまっているわけですから、自分を嫌う気持ちも人一倍なのでしょう。

なりたくない人間になってしまっていることは、理想と現実が大きくかけ離れていることにも繋がるかもしれませんね。

承認欲求が満たされない

自分は頑張っている、その成果を認められたい…。そんな承認欲求を満たされない時にも、自己嫌悪に陥る人はいます。「自分は思っている程できていないのかも知れない」というように、不安な気持ちまで抱いてしまうのです。

このタイプの人は、本来は自信を持っているはずなのに、周りからの評価が低いだけで途端に自信を失ってしまうのかもしれません。それだけ、周囲からの目を気にしているということでもあります。

自己満足で終わるということが恥ずかしく、周囲からだけではなく自分自身もまた、自分を認めることができなくなってしまうのです。

自分の価値を低く見ているから

何かやりたいことがあっても、自分の価値を低くみていると「やっぱり自分なんかにできるはずがない」といった自己嫌悪を感じることもあるようです。目の前のことに夢中になっていても、結果が出ないことで自分には価値がないようにも思ってしまうのでしょう。

それは、ある意味では誰よりも自分が一番期待を持っているということ。自分の可能性を信じたいのに、自分で価値を下げてしまうので、「自分はダメな奴なんだ」と必要以上に自己嫌悪に陥ってしまうようです。

自己嫌悪に陥りやすい原因があっても、性格上器用に受け流せる人もいます。それを受け流せず、そのまま自己嫌悪に陥ってしまうのは、どんな人なのでしょうか。性格や心理、それらの特徴をみてみると、共通する点もきっと多いはず。

そして、その特徴を知ることで、自分の自己嫌悪を改善するためのヒントも見つけていけるようになるでしょう。どんな特徴を持った人が、自己嫌悪に陥りやすいのか、参考例を挙げていきます。

向上心が強い

向上心が強い性格は、人としての長所と言えるでしょう。しかし、その向上心の強さがアダとなることも。理想を高く掲げて、少しでもその高みに追い付こうとするあまりに、障害にぶつかったり挫折した時に、持ち直せなくなってしまうのです。

何かを頑張ろうとする意志は大切ですが、それに囚われてしまうと、イレギュラーなことに対応できなくなってしまいます。自分の望んだ結果が出なかった時には、前を向くよりも、自己嫌悪に陥ってしまうかもしれませんね。

人と比較しがち

何かと人と比較してしまう性格も、自己嫌悪に陥りがちな人の特徴のひとつ。憧れの人など「自分もこうなりたい」という人と比較してしまうので、自分のペースを大事にすることができません。

「自分は自分、人は人」といったように区切るをつけることが出来れば、どんな結果が出ても自分で受け入れることができるでしょう。ですが、人と比較している以上は、どんな結果が出ても「人より劣っている」と考えがち。

満足も納得も出来ないまま、「自分はダメなんだ」と思い込んでしまうのです。

責任感が人一倍強い

自己嫌悪に陥る人は、責任感もとても強いもの。「こうしなきゃ」という完璧を求めたり、何かミスがあった時には、自分がフォローすべきと思っています。それは強いプレッシャーにもなり、自分をどんどん追い込んでしまうことになるでしょう。

そして、追い込まれている分、全てのことが中途半端で終わりがちです。「自分がやるしかない」という責任感が強すぎて誰かに頼ることもできず、徐々に「自分なんか」という気持ちが大きくなり、自己嫌悪に陥ってしまうのかもしれませんね。

人からの評価を気にする

人からの評価をやたらと気にする人も、自分の評価が下がった時に自己嫌悪に陥っているでしょう。これは、人と自分を比較しがちな人に見られる特徴ですが、何をするにしても、人からの評価を気にしてしまい、自分の意思を置き去りにしてしまいます。

自分で納得すれば、自己嫌悪に陥ることはないでしょう。しかし、いつでも人からの評価を気にしてしまっているので、人が満足するようなことばかり優先してしまいます。

そのため、自分で納得がいく前に、人が納得いかなければそこで自己嫌悪に陥ってしまうのです。自分では充分にやったと思えることでも、人からの評価が低ければ、それだけで自分は「何もできなかった」と感じてしまうでしょう。

自分のことがイヤでイヤでたまらず、どうにかして気持ちを切り替えたいと思うこともあるでしょう。とにかく持ち直すために、色々と行動に移してみる人もいるはずです。しかし、何でもやってみればいいというわけでもありません。

言動によっては、自己嫌悪から立ち直ることもできずに、更に悶々としてしまうこともあるでしょう。しっかりと自己嫌悪から立ち直るためには、やってはいけない言動を把握しておくことも大切。

では、どんなことがNGとなってしまうのか。代表的ともいえる4つの参考例をご紹介していきましょう。

人に依存する

自己嫌悪に陥ると、自分に対して否定的になってしまう反面、自分を認めてくれる他人に対して甘えやすくなってしまいます。もしも、自分を認め、慰めてくれる人がいたとしても、その人に寄り掛かり過ぎないようにしましょう。

寄り掛かり過ぎると、それは確かな依存であり、自分で立ち直る道の壁となってしまいます。人に依存し過ぎないで、自分で自分を認めることができないと、自己嫌悪から抜け出すことは難しくなるでしょう。

輝いている人と自分を比較する

自己嫌悪に陥る時には、自分の中で理想としている人物像とかけ離れていると感じていることが多いもの。その理想像とは、とても輝いていて、充足した姿であることが多いのではないでしょうか。

そして、自分がその理想像とかけ離れてしまうことで、落ち込み、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるはずです。自分にはないものを持っている人は羨ましいでしょうが、比較する必要はありません。

輝いている人に憧れを持ったとしても、それは一つのお手本であり、同じにならなくてもいいのです。あくまでも、自分の努力を認める点に、重きをおいていきましょう。

他人の粗探しは意味がない！

自己嫌悪に陥っていると、自分の自信を取り戻すために、他人と比較して優越感をとり戻そうとすることがあります。自分が他人よりも優れている部分を探すために、手っ取り早く、他人の粗探しをする人もいるでしょう。

ですが、実際他人の粗探しをしたところで、何の意味もありません。むしろ、粗探しをして安心感を得ようとすると、どんな時でも他人の悪い点ばかりを探すようになってしまうもの。そして、いつかはそんな自分にすら自己嫌悪するようになってしまいますよ。

自己嫌悪を開き直らない

自己嫌悪に陥った時に、一番のNGワードと言えるものが「どうせ」という言葉。この「どうせ」という言葉は、周りに対しても、自分に対しても諦めを示してしまう言葉になります。それは、自己嫌悪をしてしまう時にも、諦めの言葉として浸透してしまうでしょう。

「どうせ」という言葉を使って諦め、自己嫌悪に陥っていることを開き直ってしまうと、その後立ち直ることまで難しくなる可能性も。自己嫌悪に陥ったとしても、開き直らず「もう一度頑張ってみよう」と、前向きな姿勢になれるような素直な気持ちを持ってみましょう。

何かあるごとに自己嫌悪に陥ってしまう人は、克服して前を向きたいと思うでしょう。ですが、意識してみてもなかなか治せず思い悩む人もいるはず。自己嫌悪とは、なろうと思ってなっているわけではない分、どんな風に克服していけばいいのかもはっきりとは分からないものなのです。

だからといって、自己嫌悪を克服できないわけではありません。自己嫌悪を克服したいのであれば、まずは意識を変えてみることから始めましょう。意識を変えて、物の見方を変えてみれば、少しずつでも克服していけるはずです。

そして、その時に参考にできる克服方法を、ここで4例ご紹介していきます。

「完璧な人はいない」と知る

「なんで自分はこんなに簡単なこともできないのだろう」と、自分の不出来を責める人は、完璧でなければいけないと思っているのかもしれませんね。ですが、自分が思っているほど、完璧な人などいないのです。

どんなに完璧に見える人でも、失敗をすることもありますし、陰で思い悩んでいたりもするもの。そういった姿を見ていないから「あの人はなんでも完璧にこなす人」と見えてしまうのでしょう。

自分も含めて、誰もが失敗を重ねて成長をしているのだと気付きましょう。完璧な人など、この世にはいません。自分が完璧でないとしても、自己嫌悪に陥る必要はないのです。

自分の良いところを褒める

自己嫌悪に陥ってしまう時には、おそらく自分が嫌いで仕方ないと思っていることでしょう。自分が嫌いだと思う時、殆どのことに対して否定的になってしまい、自分の良いところですら認めることもできません。

自分を認めることができなくても、自分のことが嫌いになってしまっても、認めるべきところは認めてあげましょう。

「自分は何をしてもダメなんだ」と思ったりせずに「自分にはこんな長所がある」と、自信を持って褒められるようになれば、自己嫌悪を克服していけるようになるでしょう。

比較する癖をやめる

誰かと自分を比べた時に、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。他人と比較する時に、どうしても生まれてしまう優劣の感覚。劣等感と優越感は、いつだって反比例してしまうものなのです。

プライドの高い人こそ、つい他人と比較してしまう癖を持ってしまっているでしょう。いつまでも比較する癖が抜けなければ、それだけ自分はいつまでも劣等感に苛まれることを自覚しましょう。

劣等感は、自己嫌悪に陥る最大の原因。自分のことをどんどん嫌いになってしまう要因でもあります。自分は自分、他人は他人。それをしっかり踏まえて、比較することをやめていくことが、自己嫌悪を克服するために必要なことなのです。

妥協することを覚える

自己嫌悪になりがちな人の中には、責任感が強く完璧を求める人もいますよね。そんな人は、妥協することも一つの手段だと覚えるようにしましょう。ある程度のところで納得することが出来れば、自分の満足度を必然と高めることができます。

そして、重なるプレッシャーも確実に減っていくでしょう。プレッシャーは、自分を追い込んでいくだけなので、自己嫌悪になりやすくなってしまうのです。

「こうしなきゃ」という意識から「このくらいで充分」という意識に変えることができるだけで、自己嫌悪になる道は回避できるようになっていくはずですよ。

自分に嫌気がさして、自分には何の価値もないように感じるほどの自己嫌悪に陥る時、苦しい気持ちでいっぱいになるでしょう。自己嫌悪になってしまう理由を考えた時には、自分で自分を受け止められないこともあるかもしれません。

ですが、どんなに自分に対して自信をなくしたとしても、ありのままの自分を受け入れることはとても重要です。今回の記事でも触れたように、自分で自信を失うほど、自己嫌悪に陥りやすくなってしまいます。

どんな自分でも「これが自分なんだ」と受け入れることができれば、どんな結果が出たとしても自分の価値を下げることはしなくなるでしょう。

つい、自分を責めてしまいそうになった時には、自分がどれだけの努力をしてきたのか見つめなおしてみましょう。それまでの過程を振り返れば、ありのままの自分を受入れることもできるはず。そして、自己嫌悪を脱することも、きっとできるようになるのです。