最近の「寿退社」事情とは
本記事では、寿退社のメリットやデメリットについて紹介します。メリットだけでなくデメリットも把握しておくことで、寿退社への理解を深められるはず。「寿退社をしようかな、どうしようかな…」と悩んでいる時の参考にもなります。
まずは、最近の寿退社事情についてチェックしていきましょう。寿退社の意味や寿退社をする女性の割合を解説します。
そもそも寿退社の意味って?
「寿退社」の「寿」には、「おめでたいこと」「祝うべきこと」という意味があります。昔は結婚をきっかけに退社をする女性が多かったため、「結婚というお祝い事を機会に退社をすること」を寿退社を呼ぶようになりました。
以前は、結婚後は仕事を辞めて家庭に入るのが当たり前のことでしたが、近年は「寿退社」という言葉自体を聞くことが少なくなっているようです。時代の変化と共に、結婚と仕事の関わりは違うものへと変化しているということでしょう。
寿退社をする女性の割合は?
寿退社という言葉が聞かれることが少なくなってきた昨今ですが、寿退社をする女性の割合はどのくらいになっているのでしょうか。厚生労働省による「21世紀成年者縦断調査」では、寿退社をする女性の割合は約2割とされています。
つまり、約8割の女性は結婚後も寿退社をすることなく、仕事を続けていると考えられます。女性の社会進出や不景気など、さまざまな要因から、寿退社をする女性が少なくなったのだと考えられます。
また、結婚よりも出産をきっかけに退職を考えるパターンの方が多いのも特徴です。育児に対して寛容な会社でないと仕事を続けるのは難しくなるため、退職を考える人が少なくないのでしょう。
出典:厚生労働省『21世紀成年者縦断調査』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen20/index.html
寿退社のメリット
家事や育児に専念できる
寿退社をすると、家庭のことに専念できるのがメリットの1つです。寿退社をした後は、仕事のことを考える必要はなく、家庭内のことを考えれば良いので家事に注力できます。働いていた頃は十分にできなかった掃除や料理など、いろいろな家事を頑張ることができるでしょう。
そして、出産後に育児に集中できるのも寿退社の良いところです。仕事をしていると、育児と仕事の両挟みで精神的に疲れてしまう可能性があります。あらかじめ寿退社をしていれば、仕事で悩むことはなくなるのがメリットです。
また、職種によっては出産後に仕事を続けるのは難しくなる場合もあります。妊娠して急に仕事を辞めるよりは、最初から寿退社をしていた方が気が楽なはずです。
仕事でのストレスがなくなる
仕事をしていると、さまざまなストレスがかかります。同僚との付き合いや取引先との付き合いなど、人間関係でも疲れることが少なくないでしょう。寿退社をすれば、仕事関連のいざこざに巻き込まれることはなくなります。
「仕事で成功を収めなければならない」などのプレッシャーから解放され、自由な時間が増えるのが寿退社の良いところです。仕事でストレスが溜まり、体調を崩すよりも、寿退社をして精神的に余裕のある日々を過ごした方が幸せなのかもしれません。
夫婦の生活リズムを整えやすい
共働きの夫婦だと、お互いが忙しい時に生活のリズムを作りにくくなります。出勤時間や帰宅時間が重ならず、一緒に住んでいるのに顔を会わせるタイミングがほとんどないということもあるはず。生活リズムのすれ違いにより、離婚を選択するカップルは少なくありません。
一方で寿退社をすれば、仕事をしている夫に生活リズムを合わせやすくなります。すれ違いが生じることは少なくなり、夫婦としての生活を楽しみやすくなるでしょう。
夫が忙しい職種についている場合は、寿退社をした方が、夫婦の生活サイクルを合わせやすくなるはずです。「結婚後は夫との時間をなるべく増やしたい」という方には、寿退社が向いているかもしれません。
辞める口実を作れる
もともと「会社を辞めたいな」と感じていても、なかなか退社を言い出せない事情もあるでしょう。そんな時に結婚が決まれば、辞める口実を作りやすくなります。
どうしても辞めにくい状況であっても、「結婚するので辞めます」とキッパリと言いやすいのではないでしょうか。退職を引き止めていた上司が「寿退社なら仕方がない」と思ってくれる場合もあります。
辛い仕事が続いていると、結婚をきっかけに「いったん仕事を辞めて楽になりたい」と思うこともあるはず。結婚は人生の節目と考えて、仕事に一区切りつけてみることを考えてみてはどうでしょうか。
寿退社のデメリット
収入が減ってしまう
寿退社をすると、当然のことながら収入は減ります。稼ぎは夫の収入のみになるので、経済的な不安が残るかもしれません。夫が高収入の場合は女性の収入がなくなっても問題ありませんが、そうでない場合は結婚後の生活に不安を覚えることもあるでしょう。
幸せな結婚生活を送るためには、お金の問題を解消する必要があります。夫の収入だけだと標準的な生活を送ることが難しい場合には、寿退社はおすすめできません。また、夫婦で生活するのには十分だとしても、子供ができてから経済的に苦しくなる場合もあります。
子供を育てるのは、想像以上にお金がかかることです。そのことも想定して、寿退社について考えてみてください。
再就職で不利になってしまう
寿退社からしばらくして、「また働いてみたいな」と思ったとしても、再就職で不利になる場合があります。寿退社後にブランクがあることで、採用してくれる会社が少なくなる可能性があるからです。ブランクが長ければ長いほど、再就職先を見つけるのは難しくなるでしょう。
「仕事はいつでも見つかる」と思って寿退社をすると、後から大変な思いをするかもしれません。再び働く可能性があるのなら、現在の仕事を続けていた方が無難な場合もあります。再就職を試みても、思うような仕事を得られず、収入が減ることもあるでしょう。
もし、再就職を視野に入れて寿退社をするのであれば、資格を取っておくのがおすすめです。手に職があれば、再就職もしやすいはずです。
夫に経済的に依存しなければならない
夫に経済的に頼らなければならなくなるのも、寿退社のデメリットです。生活費は全て夫の稼ぎから出ることになるため、自分で自由に使えるお金は少なくなるかもしれません。
夫が家計の全てを任せてくれるのなら良いですが、毎月決められた額だけを渡されてやりくりしなければならない場合は、モラハラを受けやすくなることもあるでしょう。
「稼いでるのは俺なんだから言うことを聞け」と、夫が言ってくることがあるかもしれません。そして、万が一離婚したくなったとしても、経済的に自立していないと難しくなります。自分で収入を得るということは、将来のことを考える上で重要になると言えるでしょう。
孤独を感じることがある
会社を辞めた後は、社会とのつながりが少なくなります。1日の大半を家の中で過ごすことになり、孤独を感じる可能性もあるでしょう。少なくとも、仕事をしていたころのような他人とのつながりは減るはずです。
人によっては、「毎日夫の帰りを待っているだけの生活だと、物足りない」と感じることもあるかもしれません。孤独に耐えかねて、社会の接点を作るために「また仕事をしようかな」と考える人も少なくないでしょう。
「一日中家にいても大丈夫」「人付き合いはなるべく少ない方が良い」と思っている人でない場合は、寿退職は難しいかもしれません。
家事育児の協力を得られにくい
仕事を辞め、専業主婦になると「家事全般は全て妻が行う」という夫婦が大半でしょう。「自分は仕事をしているのだから、家事を手伝う必要はない」と思う夫もいるかもしれません。夫婦二人で生活している間はそれでも良いかもしれませんが、子供ができたら話が違います。
専業主婦だったとしても、一人だけで子供を育てるのは大変です。誰かの手を借りたいと思った時に夫が非協力的だと、疲労はどんどん溜まっていきます。助けを求めようとしても「育児は妻の仕事だろ」と言われてしまう可能性もあるでしょう。
こうした事態を避けたければ、寿退社をするにあたり、家事育児について夫と話し合っておくと安心です。きちんと協力を得られる体制を整えておくと良いでしょう。
寿退社する際のポイントとは?
退職の3か月程度前に報告
会社を辞めるにあたっては、そのための準備が必要になります。少なくとも、退職の3ヶ月前には報告するようにしてください。余裕があるなら、半年前には伝えておくと安心です。退職までに十分な時間をとっていないと、いろいろな面で迷惑をかけることになります。
例えば「1週間後に退職をします」と急に同僚に言われても、「何も引き継ぎができていない」と困ってしまいますよね。それと同じことを自分がしたら、周囲から反感を買うことは容易に想像できるでしょう。
社会人として常識がない行動を避けるため、退職までの期間はしっかり取るようにしてください。やるべきことを全て終わらせた時点で寿退社することが社会人の務めです。
繁忙期や人員不足のときは控えよう
どんなに寿退職をしたかったとしても、繁忙期や人員不足のタイミングでは避けた方が無難です。一人でも人員が抜けると仕事が立ち行かなくなるなら、見通しが立つまで退職は待ちましょう。
病気などでどうしても退職しなければならないのであれば仕方がありませんが、結婚というプライベートなことで繁忙期や人員不足のときに退職するのは、やはり気後れしてしまうはずです。
「どうしてあの人の都合でこっちに仕事が押し付けられなければならないんだ」と同僚の反感を買いたくなければ、寿退職はきちんと時期を見計らうようにしてください。
報告はまず直属の上司に
最初に報告をするのは、直属の上司であることも忘れないようにしましょう。今まで一緒に仕事をしてきた上司に報告するのは、社会人として守っておきたいルールの1つです。
直属の上司に報告せず、親しい同僚だけに寿退社の話をするのはやめておきましょう。話が漏れて、直属の上司の耳に入る可能性があります。「今まで育ててきた部下なのに、退職の報告がないなんて失礼だ」と怒りに触れてしまうかもしれません。
まずは、直属の上司に面と向かって退職の意向を伝えることが大切です。退職を伝えるときは、今までの感謝の気持ちを伝えることも忘れないようにしましょう。
結婚式の日取りも報告する
直属の上司に寿退社を報告する際には、結婚式の日取りも報告するのがおすすめです。結婚をきっかけに会社を辞めるのに、上司を結婚式に招待しないのは失礼に当たります。
「○月○日に結婚式を予定しているのですが、ご予定はどうでしょうか」といったように聞いてみましょう。もし、身内だけで結婚式をする場合は、その旨を伝えるようにしてください。
何も言わないままだと「結婚式に招待してもらえなかった」と勘違いされることがあります。「式は身内のみで行う予定です」と言っておくだけで、上司の印象は大きく変わるでしょう。
頃合いを見て取引相手や同僚に伝える
取引先や同僚については、頃合いを見て伝えるようにしてください。直属の上司に退職の意向を示し、了承を得られてからタイミングを計るようにするのがポイントです。繁忙期は避けて、仕事が落ち着いた時期に話をすると良いでしょう。
引き継ぎが必要な同僚や、仲が良い同僚から順に伝えるのがおすすめです。そして、同僚への引き継ぎの話が始まった段階で取引先にも退職することを伝えましょう。
「今後の担当は○○になります」といったように、きちんと引き継ぎできていることを説明する必要があります。寿退社をするにあたって周りに迷惑をかけないように、配慮しながら話を進めていきましょう。
寿退社する際の注意点
仕事には手を抜かない
「もう辞めるのだから、仕事は適当にやれば良いだろう」と思うのはNGです。寿退社が決まった途端に仕事の手を抜くと、周りから反感を買うことになります。「辞めるからって仕事の手を抜くのは社会人失格だ」と思われてしまうかもしれません。
自分が担当している仕事は、最後までしっかり行うようにしてください。後悔がないように仕事をやり切ることで、寿退社をするときも晴々とした気持ちになれるはずです。与えられた仕事を全てやり切った段階で退社ができるように、計画を立てていきましょう。
舞い上がり過ぎない
結婚が決まると、そのことばかり考えてしまう場合もあるでしょう。しかし、あまりにも舞い上がり過ぎるのは危険です。婚約者の話や結婚式の話ばかりしていると、同僚から「舞い上がっていてムカつく」と思われる可能性があります。
特にまだ結婚していない独身の女性にとって、結婚の話は酷です。会社を辞める前に関係が悪化することも考えられるので、結婚に舞い上がりすぎないようにしましょう。あくまでも冷静な精神状態を保ち、いつも通りに仕事をこなしていくことが大切です。
上司に言うまでは誰にも言わない
寿退社の話は、最初に上司にすることが重要なポイントです。噂話として上司の耳に入らないように、寿退社の件は誰にも言わないようにしましょう。
どんなに「内緒だよ」と言っても、話はどこかで漏れるものと思った方が無難です。上司の信用を損なわないためにも、口は固く閉ざしておきましょう。
退職の理由で嘘はつかない
「寿退社と言うと、浮かれた人だと思われそうだな」などと考えて、嘘の退職理由を言うのはやめましょう。「病気になって…」といった嘘をつくことで、悪い状況に追い込まれることもあります。嘘がどんどん広がり、収集がつかなくなる場合もあるので気をつけましょう。
退職する際に、嘘の理由を言う必要はありません。結婚をきっかけに退職するのであれば、そのことを正直に伝えましょう。
寿退社するべき?悩む女性へ先輩の声
仕事が好きなら続けるべき!
「退職をした後の再就職は、思っている以上に大変です。もし仕事が好きなら、続けた方が良いと思います。私は仕事を辞めてから物足りなさを感じて再就職しようとしたけどうまくいかず、後悔しているので…」(35歳/女性/主婦)
「仕事はいつでも再開できる」と思っていると、後から現実の厳しさに気づくことがあります。どんなに好きな仕事でも、いったん辞めてブランクができると再就職が難しくなる可能性が高いでしょう。
「年齢を重ねても仕事をしたい」と思っているのなら、仕事は辞めずに続けた方が無難です。大切な仕事を失わないように、じっくり考えたいところです。
嫉妬してくる同性の同僚もいる…
「寿退社と聞くと、やっぱり嫉妬する同僚が出てきます。寿退社を伝えるのは、上司や引き継ぎが必要な人など必要最低限の人に留めておいた方が良いでしょう。なるべく口止めしておいて、退社が近くなってから話すのも1つの方法です」(30歳/女性/主婦)
未婚の女性の場合、身近に寿退社をする人がいることに対して妬みを感じることがあります。「結婚するからって浮かれてる」と勘違いされてしまうかもしれません。
社内の人間関係を悪化させないためにも、同性の同僚への伝え方はよく考えた方が良さそうです。不要な嫉妬心を抱かれないようにしましょう。
彼ときちんと話し合って
「寿退社した後の家計の管理はどうするのか、子供ができた後に協力してくれるかなど、彼とはしっかり話し合っておいた方が良いです。そうしないと、『専業主婦なんだから、家事育児は全て任せた』と言われるかもしれません」(32歳/女性/主婦)
結婚前には、彼との話し合いも大切です。これから夫婦で生活を作り上げていかなければならないため、どこかですれ違いが起きると大変なことになります。育児や家計の管理など、話し合うべきポイントをまとめておくと良いでしょう。
寿退社をすれば楽になると思わないように
「寿退社をした後は家事に育児にと大変な日々を送りました。子供ができたことで家計が苦しくなり、結局パートに出ることになったので、毎日ヘトヘトです。『寿退社=無条件に幸せ』と思わないようにした方が良いです」(38歳/女性/パート)
寿退社をすれば楽な生活が送ることができると思いがちですが、夫婦生活にはさまざまな困難が待ち受けています。デメリットも踏まえた上で寿退社をしないと、イメージとは違う生活になるおそれがあるので気をつけましょう。
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