そもそも「自尊心」ってどんな意味?
私たち人間にはさまざまな感情があり、状況に応じて異なる心理が生まれます。環境や具体的な出来事などの影響を受けて、人それぞれ独自の性格や気性などが作られていきますが、同じように自尊心も自分自身を構成する感情のひとつです。
それでは、自尊心が低い人の特徴や自尊心を高める方法をご紹介する前に、「自尊心とは何か?」についてみていきましょう。
「自尊心」の意味
「自尊心」とは、何よりも自分自身が自己を受け入れて、尊重し、認める気持ちを言います。「自己肯定感」や「自信」という言葉とも似ており、人格形成や情緒を安定させるために必要な感情であると考えられています。
簡単に言えば、自尊心とは「自分を大切だと感じたり、自分を好きだと思える心」のことです。逆に自分を嫌いだと感じたり、心のどこかで自分を認められず否定するような気持ちが強い場合には、「自尊心が低い」といえるでしょう。
「プライド」と「自尊心」は似て非なるもの!?
「自尊心」の類語のひとつに「プライド」があります。たしかに、このふたつの意味は似ていますが、根本が大きく異なると考えられるでしょう。というのも、自尊心は自分に対する自信から生まれる感情ですが、プライドは自分に対する自信のなさから生まれる感情だからです。
たとえば、自分に自信が持てない時に「この人より自分は優れている」という比較によって自信を生み出そうとすることがあります。このときの「自分は優れている」という気持ちは「プライド」で、他人との比較によって自信を得ているにすぎません。
つまり、プライドは自分の自信のなさゆえに生まれる感情で、「他人がどうであれ、自分は自分が好き」という前提から生まれる自尊心とは正反対の感情ともいえるでしょう。
なぜ自尊心は大切なの?
自尊心が低いとなにが起きるのでしょうか。なぜ、自尊心は大切だと言われるのでしょうか。自尊心が低い人は、基本的に自分に自信がありません。仮に成功したとしても自分を認める力が弱く、失敗すると必要以上の辛さや苦しさを感じてしまいます。
生きていれば、失敗したり他人から否定されることも多々あります。しかし、どんなに傷ついても「自分は大丈夫、頑張れる」という自信や自己肯定感があるからこそ、それらが最後の支えとなって、立ち直り、前を向くことができるのです。
しかし、自尊心が低いと、事あるごとに「自分はだめだ」とどんどん自分自身を追い込んでしまいます。そして、何をするにも諦めがちになったり、思考のベースがネガティブになったりして、必然的に「生きづらさ」を感じてしまいます。
自尊心の低さは生きづらさを生む
生きづらさを感じるのはどんな時か、考えたことはありますか?特別なことがなくても、ふとした日常の中で「生きづらい」と感じることは誰にでもあること。「なにをしても満たされない」「ポジティブになれない」「感情がコントロールできない」などさまざまな形で表れます。
日常的に感じる生きづらさは、もちろん政治や社会システムが原因の場合も多いですが、いつのまにか染み付いた自分の考え方や言動にも原因があるかもしれません。「自分のことが好きになれない」「自信をもてない」という自尊心の欠如が、生きづらさの根本的な原因であるケースは多いでしょう。
「自分のことが嫌い」と感じる人や、「生きづらい」という悩みを抱えている人は、ぜひ一度、自分の自尊心について考えてみてください。自分を好きになる方法を知ることが、いまの自分を変えていくことにつながっていきます。
自尊心が低い原因とは?
もちろん、直接的な経験がなくても、自分の抱えるコンプレックスなどから、自尊心が低い状態が生まれることもあるでしょう。そもそも「自尊心が低い」という状態を自分では認識しておらず、「自分はネガティブ思考な人」「行動力がない」と決めつけてしまう場合もあります。
では、自尊心が低い原因にはどのようなものがあるのでしょうか?「なぜ自分の自尊心が低いのか」と疑問に思ったときにその原因を知ることは、自分を見つめ直すためのきっかけになるはずです。
過去の失敗がトラウマになっている
過去に大きな失敗をするなどして強いストレスを感じたことがある人は、自尊心が低くなっている可能性があります。
失敗を繰り返して自尊心が低い状態が生まれることもあります。ですが、あまり失敗したことのない人が急に挫折感を味わったり大きな失敗をすると、敗北感や自信の低下がより著しく、一気に自己肯定感を失ってしまうことがあるのです。
幼少期の家庭環境によるもの
自尊心が低くなる大きな要因として、幼少期の家庭環境が大きく関わってくるケースがあります。では、どのような幼少期を過ごすと、自尊心が低い状態が生まれやすくなるのでしょうか。
自尊心は「自分で自分を認めること」ですが、幼少期にその役目を果たしてくれるのは、自分の親や保護者です。親に認めてもらえない、褒めてもらえない幼少期を過ごした人は、「自分を肯定してもらえる経験」を十分に与えられず、自尊心が低下してしまう可能性があります。
とはいえ、両親も「子供の自信をなくしてやろう」と考えてしつけをしているわけではないはずです。親が良かれと思って厳しく育てた結果として、自己肯定感や自尊心の低い子供に育ってしまうこともあります。
自分自身と向き合ってこなかった
自分のことを「自尊心が低い」とはっきり認識できている人はどれだけいるでしょうか。「ネガティブ思考」「謙遜しがち」などの言動の癖を、自分の個性や性格と思い込んで、根本にある自尊心の低さに気づかない人も少なくありません。
たとえば、忙しく過ごすなかで、自分の本当にやりたいことや目標などをあまり考えたことのない人、さらに言えば、自分の生きる意味について考えたことがない人は、自分の人生や生き方に自信がもてず、自尊心が低い状態に陥ってしまう可能性があります。
このような人は、一度自分自身としっかり対峙する時間をとりましょう。自分の生き方や時間の使い方に自信を持つことで、自尊心を高めることにつながります。
コンプレックスを抱えている
コンプレックスは、感じ方や捉え方によってプラスにもマイナスにもなります。自分の弱点を「これも魅力のひとつ」と考えられる人もいますが、すべての人がそのように捉えられるわけではありません。
たとえば、容姿に関するコンプレックスをもっている人は、人と話したり新しいことにチャレンジすることに消極的になってしまうことがあります。これは、コンプレックスによって自尊心が低い状態が生まれている証拠です。
また、自分の能力の低さや育った環境など、コンプレックスの原因となるものは人によって違います。親や兄弟、友人関係など、他の人の存在がコンプレックスとなっている場合には、まず他人と比較することから抜け出していきましょう。
自尊心が低い人の特徴とは?
自尊心が低い人の特徴は、おもに行動と発言に表れます。自尊心が低い人の特徴がどのような形で行動や発言に表れるのかも解説していきますので、自分にあてはまるかどうか、ぜひチェックしながら読んでみてください。
自分のことが嫌い
「自分のことが好き?」と聞かれて、あなたはどう答えますか?自尊心が低い人は、この質問に対して「自分のことはあまり好きではない」「自分のことが嫌い」と答えることが多いです。
自尊心が低い人の特徴のほとんどには、「自分が嫌い」という感情が根本にあります。自分を嫌うことは、自分や自分の生き方を否定すること。自分を好きになることができれば、自尊心が低い状態から脱することは難しくないのです。
ネガティブ思考
自尊心が低い人は、物事に対して消極的でネガティブ思考になっていることが多いです。常に悪い方向に物事を考えてしまったり、必要以上に心配してしまったりするようになります。
他の人から見ると「そんなに悪いことは起こらないのではないか」と思える状況であったり、本当は能力が高い人であっても、自尊心が低いと「どうせ失敗する」「うまくいくわけがない」という根拠のない自信の欠如が起きてしまいます。
諦めがはやい
自尊心のない人が、必ずしも根気が無かったり能力が低いとは限りません。ですが、「自分にはできない」という思い込みがあるため諦めが早く、取り組んでいることを途中で投げ出してしまう状況が起きやすいのは確かです。
何事も順風満帆にいくことばかりではありませんが、自尊心の低い人ほど、過去の失敗を思い出して「どうせこのままやっても失敗するだけ」と早々に諦めてしまいます。
他人に左右されやすい
自尊心が低い人は、自分に自信がありません。そのため、自分の選択に対して疑心暗鬼になることが多く、周りの人の意見や選択に影響されやすいという特徴があります。
他の人に影響されやすいと、人から「自分をもっていない人」と思われることもあり、そのことが自信のなさに繋がることもあるでしょう。他の人に頼った選択を続けていると、自分の生き方に納得できなくなってしまいます。
内弁慶
自尊心の低い人の特徴に「内弁慶」というものがあります。内弁慶とは、家などでは威勢が良いのに外に出ると意気地がない人のことです。
たとえば、家族の前や仲の良い友達に囲まれているときには大きな声で明るく喋っている人が、人前に出ると急に声が小さくなったりおどおどしてしまう。これも、自尊心が低い人のわかりやすい特徴だといえます。
内弁慶になってしまうのは、「だめな自分を見せたくない」「よく知らない人に馬鹿にされたくない」という気持ちの表れでしょう。
決断力に乏しい
自尊心の低い人は、物事を自分で決定することが苦手です。自分自身のことだけでなく、責任の伴う決断を下さなければいけない場面などではとくに、「本当にこれでいいのか、自分は間違っているのではないか」と迷ってしまいます。
「自分で決定することで悪い結果を招いてしまうかもしれない」という不安があるので、周りの人に意見を求めすぎてしまうこともあるでしょう。あるいは、自分の選択にお墨付きがほしくて、色々な人に確認を取らないと気が済まない、という人もいます。
低い人と正反対?自尊心が高い人の特徴
後者は、逆に自尊心が高い人である可能性が高いです。では「自尊心が高い人」とは、どのような人のことをいうのでしょうか?自尊心が高い人の特徴についてもみていきましょう。
チャレンジ精神が旺盛
自尊心が高い人は、自尊心が低い人とは反対に、自分に自信を持っています。自分の能力や才能を信じているので、たとえ不安な状況であっても「自分ならできる!大丈夫!」と自分自身を鼓舞することができるのです。
そのため、新しいことにチャレンジすることを怖いとは感じません。緊張しながらも、ワクワク感を忘れずに積極的に取り組むことができます。
感情のコントロールが上手
自尊心の低い人は、ネガティブな感情に支配されやすく、モチベーションを保つことも苦手。その時の気分に左右されやすいので、感情のコントロールはあまりうまくありません。
一方で、自尊心が高い人は、自信のある状態を保つことが得意です。自尊心の高い人であっても、ネガティブな状況に追い込まれたりマイナス思考に陥りそうになることはありますが、自分を信じ続けることで負の感情に打ち勝つことができます。
ポジティブ思考
自尊心の低い人がネガティブ思考であるなら、自尊心の高い人はその反対。基本的にはポジティブな性格で、何事も前向きに捉えることができます。
自尊心の低い人が自分のできないことや短所にばかり目を向けるとしたら、自尊心の高い人はどんなに小さいことでも、自分のできることや長所に目を向けようとすることが多いです。
たとえ失敗したとしても、「失敗を生かしてまた挑戦してみよう」と切り替えることができるのも、ポジティブな性格ゆえでしょう。
成功体験を積み重ねている
自尊心を高める方法としてもよく知られているのが、成功体験の積み重ねです。小さなことでも、自分がやり遂げたことがあると、生きていくための自信につながり、大変な状況に陥っても「あのときに頑張れたから今度も大丈夫」と考えることができます。
自尊心の高い人は、そのような成功体験を積み重ねるなかで、自己評価を高めているのです。成功することに慣れると、自分の扱い方がわかってきますし、良い結果を導くための見通しを立てやすくなります。また、成功体験は周囲から認められる経験であり、その点でも重要です。
自尊心を高める方法とは?
今回ご紹介する自尊心を高める方法は、「小さい事から成功体験を重ねる」「自尊心が低い自分を受け入れる」「自尊心が高い人の真似をしてみる」「ポジティブ思考に慣れる」の4つです。それでは詳しく解説していきましょう。
小さい事から成功体験を重ねる
自尊心を高めるための方法として最もよく知られているのは、成功体験の積み重ねです。自尊心が低い人は、「自分にはなにかを成し遂げる力がある」という自信に欠けており、成功よりも失敗が多いことなどが原因で自尊心が低くなってしまっています。
たとえば、資格試験に挑戦するとしましょう。試験に合格することは大きな成功体験になりますが、毎日の勉強量を設定して、毎日チェックし、クリアしていくようにします。すると、大きな目標に向かう中で、日々の努力が形として残り、自信になるのです。
自尊心が低い自分を受け入れる
自尊心の低さを自覚していなかったり受け入れることができないと、本質的な問題に気付くことができず、ますます自分の心を消耗してしまうでしょう。
自尊心が低い人は、自信のない自分を完全に受け入れることで、今よりも自信をなくしたりネガティブな感情に支配されることを恐れることがあります。しかし実際には逆で、いまの自分を受け入れることは、自分を認め、肯定してあげることにつながるのです。
「自尊心を高めたい」と思うタイミングがきたら、まずは自分の性格や言動などを振り返って、自尊心の低さがどのような形で表れているのかを知りましょう。これが自分に嘘をつかずに向き合う第一歩になります。
自尊心が高い人の真似をしてみる
難しいことやできないことに挑戦するとき、誰かをお手本にする人は多いと思います。自尊心を高めることも同じで、すでに自尊心が高い人の言動や考え方などを真似することで、外からの刺激で自分の内面を変えていくことができます。
気を付けたいのは、気持ちの持ち方を変えることにばかり集中して、なかなか行動に移せないという事態です。ある程度の自己分析を終えたら、実際の生活や習慣を変えていきましょう。行動を変えていくことでこそ、人は変わることができます。
ポジティブ思考に慣れる
自尊心の低い人の多くは、言葉や行動の端々にネガティブさが表れています。物事を恐れて行動を起こせなかったり、いつも心配ばかりして自信をなくしてしまったり。そんなときには、少し無理やりにでもポジティブに考えるように意識してみてください。
最初は小さいことで実践しましょう。たとえば、普段頼まないようなドリンクや料理をレストランで注文してみる、といった些細なことでかまいません。「普段の自分ならあまりやらないけど、ちょっとやってみたいこと」が思い浮かべばチャンスです。ぜひ挑戦してみてください。
自尊心を高めるメリットとは?
まずは第一歩として、自尊心が高くなった自分や、自尊心を高めるとどんな良いことがあるかを想像してみましょう。「変わりたい」と思う力が強くなることで、少しずつ行動に移していけるようになります。
ここでは、自尊心を高めることで得られるメリットをいくつか紹介します。
視野が広がる
自尊心が高くなると、新しいことに挑戦するようになったり、人と前向きに向き合うようになるので、これまでよりもずっと視野が広がります。
視野を広げて新しい世界に触れることで、自分も知らなかった自分の良いところや得意なことを発見することができます。いまの自分はあなたのすべてではありません。行動範囲を少し広げるだけで、新しい自分に出会うことができるのです。
考えがポジティブになる
自尊心が高くなると、自然と性格が前向きになり、ポジティブに物事を考えられるようになります。これまでは「どうせ無理だから…」と考えていたことも、「もう少し頑張ってみよう」と思えるようになり、少しずつポジティブ思考が身についていくでしょう。
考え方や言動の癖は、簡単には直るものではありません。ですが、日々の小さな出来事を前向きに考えることで、少しずつ変わっていくことは可能です。嫌なことが起きても、少しでも良いことを見つけるようにして、前向きな生き方を模索してみてください。
自分のことを好きになれる
自尊心を高めることの重要なメリットは、自分を好きになれることです。どんなに周りに認められても、自分で自分を認めることができなければ、いつまでもネガティブ思考や消極的な性格を引きずることになります。
自分のことを好きになると、自分のことをむやみに否定したり追い込むことは少なくなります。失敗しても「まあいいか」と自分を許すことができ、自分の決断や生き方に対しても自信を持つことができるでしょう。
感情のコントロールがうまくなる
自尊心の低い人が負のループに陥ってしまう理由として、感情をコントロールできずに、ネガティブ思考に引きずられてしまうことが挙げられます。
自尊心が高くなると、自分の感情にあまり左右されなくなります。ネガティブになることには意味がないとわかるので、気分が落ち込みすぎないように意識的に切り替えようとする人も多いです。
たとえば、嫌なことがあったときには深く考えすぎずに、「甘いものを食べる」「お酒を飲んで気分を切り替える」といった具体的な気分転換の方法を試すのも効果的でしょう。
「自尊心が低い自分」は変えることができる!
自尊心の低下は、必ずしもあなただけのせいではありません。家庭環境などのやむを得ない事情によって、自尊心が低くなってしまう人もいるでしょう。しかし忘れてはいけないのは、生まれは選べなくても、自分の生き方は自分で変えることができる、ということです。
少しでも自分を好きになれるように、自分に自信をもてるように、マイナスの方向に考えるのを少しずつやめてみましょう。マイナスの感情に支配されないように「大丈夫」と自分に言い聞かせて、自分が幸せになるために自尊心を高めていってください。
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