そもそも「顔色をうかがう」ってどういうこと?
とはいえ、そもそも「顔色をうかがう」とは厳密にどういうことなのか、気になる人もいるでしょう。そのため、まず「顔色をうかがう」という言葉について説明します。
「顔色をうかがう」の意味
「顔色をうかがう」は、「相手の表情から、相手の考えや機嫌を知ろうとすること」を意味します。漢字では「顔色を窺う」と書きます。「窺う」と「伺う」の違いは、このあとで説明しますね。
「顔色をうかがう」は、相手にバレないようにそっと様子を探って、問題を避けたり気に入られようとする行為なので、そこから派生して「媚を売る」「機嫌を取る」といったニュアンスが含まれることもあります。
「窺う」と「伺う」の違い
先述したように、「人の顔色をうかがう」には「窺う」という漢字が用いられます。「窺う」と「伺う」はどちらも「うかがう」と読みますが、意味が似ているようで異なるため、使い分けが難しい漢字です。
「伺う」は、「聞く」「尋ねる」「訪問する」の謙譲語です。例えば、「お宅に伺う」などはよく使うでしょう。これは「家を訪問する」のへりくだった表現です。同じように、「お噂はうかがっています」「ご意見を伺う」は、それぞれ「噂は聞いています」「意見を尋ねる」という意味です。
一方の「窺う」は、そっと様子を見たり、好機の訪れを待つといった意味合いになります。したがって、つい人の顔色を見てしまう時は、「窺う」を用いるのが適切です。しかし「窺う」は常用漢字ではないため、新聞などでは「うかがう」とひらがなで表記するのが一般的です。
「顔色をうかがう」の類語
「顔色をうかがう」の類語には、「機嫌をうかがう」や「様子を気にする」といった言い方があります。
また「意向を気にする」や「顔色を見る」などといった言い方も類語です。どの類語も、「相手の動向を気にする様子」を表す言葉であることがわかります。
人の顔色をうかがう人の特徴は?
ここでは、人の顔色をうかがう人の特徴をまとめました。さっそくご覧ください。
基本的に優しい人が多い
何かと言うと人の顔色をうかがう人は、基本的に優しい人が多いのが特徴です。優しいからこそ、「この方法でいいと思ってくれるだろうか」とか、「このやり方で相手の気分を害さないかな」などとあれこれ考えてしまい、つい顔色をうかがうことになってしまいます。
こうした基本的に優しい性格の人が人の顔色をうかがうのは、相手に対する気遣いの気持ちが大きいからといえるでしょう。
そのため、優しい人が人の顔色をうかがっている時は、それだけ相手のことを配慮していると見てあげたいものですね。
ネガティブ思考の人
ついつい人の顔色をうかがう人には、ネガティブ思考の持ち主が少なくありません。
ネガティブ思考の人は、何かにつけて悪い方へと考えてしまうため、自分の考える方法では何もかもが上手くいかないように感じてしまいます。
また、「失敗して責任を取らされるのは避けたい」といった具合に、何をするにもネガティブな思考から入るのも特徴です。
ネガティブ思考の人は、ネガティブな思考が好ましくない結果を生み出すことは分かっているので、「もっといい方法を教えてもらえないか」と考えます。そのため、ポジティブな考え方をする人の顔色をうかがうことが多いでしょう。
心配性な人
心配性な人は、「もしかして悪く思われているのでは」とか、「この方法だと気に入ってもらえないのでは」などと、何かにつけて心配するのが特徴。それは、「間違ったことをしたらどうしよう」という不安があるからです。
心配し始めると、あれもこれも気になるものですよね。そのため心配性な人は、いつまで経っても物事が進まないことがよくあります。
何をするにも心配になるあまり、周囲からどう思われているかが気になって、つい人の顔色をうかがうことが少なくありません。
ずるい人
人の顔色をうかがう人の中には、臨機応変に対応できる人もいます。これが、「ずるい人」の特徴です。
ずるい人は、自分より立場の弱い相手には高圧的な態度を取る一方で、強い相手にはへこへこと媚びへつらいます。相手の顔色を素早くうかがうからこそできるこの芸当を見て、たいていの人は「ずるい人だな」と感じるのではないでしょうか。
世渡り上手と言えなくもありませんが、人の顔色をうかがうことで自らの態度を変える人は、周囲から嫌われる可能性が高いと言えます。
人の顔色をうかがってしまう原因とは?
そこで、人の顔色をうかがってしまう原因をいくつかご紹介します。
自己肯定感が低い
自己肯定感とは、自らを肯定的に受け止める感覚のことを言います。
自己肯定感が低いと自分に自信が持てず、自分の意見や判断にも自信を持つことができません。そのため、「この考え方で間違っていないだろうか」「相手はどう考えているのだろう」と不安になり、人の顔色をうかがってしまうのでしょう。
また、自己肯定感が低いと「自分には全くいいところがない」と思い込んでしまうことも多く、周囲の人達が自分よりもずっと優秀に見えて、何かにつけて人の顔色をうかがうことになるというわけです。
人を信じられない
人の顔色をうかがってしまう人には、人を信じられないから、つい顔色をうかがってしまうという人もいます。いじめに遭ったり、人からつらい思いをさせられたりした経験を持つ人によく見られる原因です。
こうした過去の苦い経験があったら、「人は信じられない」という気になるのも無理はありません。そのため、「二度とつらい目に遭いたくない」という思いから、予防線を張ろうとします。
真っ先に「相手から嫌われないようにするにはどうしたらいいか」を考え、常に人の顔色をうかがうことになってしまうというわけです。
高圧的な親に育てられた
高圧的な親に育てられた子供が、自分を守るために親の顔色をうかがうようになるケースはよくあります。その理由は「親に怒られたくないから」です。
子供にとって、親から怒られるのは非常につらいことのはず。しかも、高圧的な態度で怒られたら、恐怖すら感じるでしょう。
高圧的な親に育てられた人は、高圧的な態度で接する人を前にすると無意識のうちに親を思い出し、顔色をうかがうようになります。
「三つ子の魂百まで」と言うように、幼いころの体験は性格形成に大きな影響を与えると言われますので、親の責任は重大と言えるでしょう。
人の顔色をうかがう人の心理とは?
ここでは、つい人の顔色をうかがってしまう人の声をもとに、人の顔色をうかがう心理をご紹介します。
人から嫌われるのが怖くて…
「本当は自分の思いどおりに物事を進めたいけど、そうすると周囲から嫌われますよね。やっぱり『嫌われたくない』という心理が働くから、つい人の顔色をうかがってしまいます」(25歳/男性/小売業)
自分に「こうしたい!」と思うやり方があり、その通りに進めたいという気持ちがある反面、「自分のやりたいようにやったら、周囲から嫌われるのでは」と感じる人は少なくないでしょう。
したがって、「みんなに嫌われないように、顔色をうかがっておかないと…」ということになるのも無理はありませんね。
悪い印象を与えたくない!
「自分勝手に振る舞う人って、たいてい印象が悪いじゃないですか。悪い印象を持たれるとなかなか変えられないから、とにかく悪い印象を与えたくないんです。だから、つい『この人から悪い印象を持たれてないかな?』って、相手の顔色をうかがうことになります」(26歳/女性/ウェディングプランナー)
人の話を聞かないといけない職業の人や、好印象を持ってもらわないと仕事がうまく進まない人は、つい人の顔色をうかがうことも多いでしょう。
悪い印象を与えることで、仕事や自分の評価に大きなダメージを与えるとなれば、死活問題ともなりかねませんよね。
周囲のことがよく見えてしまうからつい…
「もともと周囲のことがよく見えて、周りの変化にすぐ気が付く性分です。誰が機嫌が悪いかもすぐわかる。機嫌が悪い人と接する時はどうしても憂鬱な心理になるので、『今、話しても大丈夫かな?』と顔色をうかがうのが習慣になってしまいました」(24歳/女性/医療従事者)
神経が細やかで、周囲のことによく気が付く性分の人は、機嫌の悪い人と接するのが特に苦手です。そのため、「今、この人の機嫌はどうだろう?」と顔色をうかがうことになるでしょう。
周囲の変化に誰よりも早く気が付いてしまう人の場合、自らの身を守るために、顔色をうかがうことが習慣化してしまったとも言えますね。
相手の考えていることがわかってしまいます
「話をしている時、相手の表情や仕草などから、相手の考えていることがわかってしまいます。『今、機嫌を損ねたから、何とか挽回しなきゃ』と思って、お世辞やおべっかを言うこともしばしばです。本当は言いたくないけど、今後の付き合いを考えるとやむを得ないかなと」(27歳/男性/営業職)
営業の仕事をしていると、相手の機嫌一つで仕事の成果が大きく変わることがよくありますよね。
表情の変化や仕草から、相手の考えていることがわかってしまう人は少なくなく、こうした人は、相手の顔色をうかがいながら話をすることも多いでしょう。「お世辞やおべっかなんか言いたくない」が本音でも、言わなければならないのがつらいところですね。
人の顔色をうかがうことのデメリット
そこで、人の顔色をうかがうことのデメリットには何があるのか、具体的に見ていきましょう。
疲れることが多い
何をするにも人の顔色をうかがうようになると、とにかく疲れることが多いのが最大のデメリットです。
一人の顔色をうかがい、意見を探るだけならまだいいですが、時にはさまざまな人の意見を探らなければならないこともあるでしょう。
となると、必然的に多くの人の顔色をうかがうことになります。これだけでも十分疲れますが、人それぞれで意見が異なると、意見のすり合わせに苦労するのは明らかです。
結局、顔色をうかがって上手くいくようにしたはずが、複数の異なる意見が集まったことにより「あちらを立てればこちらが立たず」となる可能性が大。疲れるのも無理はありませんね。
自分の意見が言えない
人の顔色をうかがうということは、相手の言うことをまず一番に受け入れるということです。そのため、自分とは全く相容れない考えを受け入れなくてはならないこともあるでしょう。
人は、自分とはまったく価値観が異なる意見には、どうしても反感を覚えてしまいます。とはいえ、人の顔色をうかがうことが何よりも重要なら、受け入れざるを得ませんよね。
けれど、自分の意見が言えないと心の中がもやもやしてきます。精神衛生上よくないのは明らかですから、かなりのデメリットと言えるのではないでしょうか。
ストレスが溜まる
人の顔色をうかがうこと自体、ストレスが溜まります。「今、相手は機嫌がいいだろうか」と常に様子を見なければなりませんし、「こう言ったらどう思われるだろうか」と相手の反応を気にしないといけないからです。
一事が万事こうした状態では、神経をすり減らしてもおかしくありません。神経をすり減らす一方で、ストレスはどんどん溜まるばかりです。
いつも他人の考えを優先し、自分の意見を封じ込めて人の顔色をうかがっていれば、いずれ心身に不調をきたすでしょう。その時になってから気づいても、健康を取り戻すには時間がかかります。
体を壊す可能性が高いという点では、かなり大きなデメリットと言えますね。
相手になめられる
人の顔色をうかがう理由は人それぞれですが、周囲の人に嫌われたくないあまりに、人の顔色をうかがう場合もあるでしょう。あるいは、周りの人に不愉快な思いをさせないようにという配慮から、人の顔色をうかがう人もいます。
理由は違えど、人の顔色をうかがっていることは、はたから見ていればわかるものです。となると「この人は自分の考えを持っていない人だから、無理を言っても反論しないはずだ」と思われてしまいます。つまり、なめられてしまうのです。
人をなめる人は、「都合よく使ってやれ」と考える人でもあります。いいように使われる可能性があり、大きなデメリットを被る可能性が大です。
人の顔色をうかがう癖を直す方法はある?
具体的にどのようなデメリットがあるのかがわかると、「人の顔色をうかがうのはもうやめよう!」と決意するきっかけになりますよね。
そこで、ここからは、人の顔色をうかがう癖をなおす方法をいくつかご紹介します。「これならできそう」と思えるものから、実践してみてくださいね。
自分磨きをして自信を持つ
人の顔色をうかがう最大の原因は、自分に自信が持てないからです。「人から反対されたり、いい顔をされなかったらどうしよう」という意識が常にあるため、そうならないようにと顔色をうかがうことになります。
人の顔色をうかがうことをやめるには、自分に自信を持たなければなりません。それには、自分磨きが必要です。
自分に何が足りていないかを考えると、最適な自分磨きの方法が分かってくるのではないでしょうか。自分磨きによって自信を持ることができれば、自然と人の顔色をうかがうことも減っていくはずです。
楽観的な考え方を心がける
人の顔色をうかがう人の特徴に、ネガティブ思考というのがありました。また、心配性な性格も人の顔色をうかがう人に多く見受けられます。
こうした人たちに共通するのが、「失敗したらどうしよう」という不安や、「ミスをして怒られたくない」というネガティブな考え方です。
人の顔色をうかがうのをやめるには、癖になっている自分自身の考え方を改める必要があります。
「失敗したらやり直せばいい。怒られたっていいじゃないか」と楽観的な考え方を心がけることで、徐々に人にどう思われるかが気にならなくなっていくのではないでしょうか。
自分のことに専念する
人の顔色をうかがう人は、常に周りを見て「あの人の機嫌はどうか」とか「今、何を考えているんだろう」などと気にしているでしょう。その時、自分に対する注意は薄れ、仕事にも集中できていないはずです。
人の顔色をうかがう癖を何とかしたいなら、人が何をしているかなど考えず、ひたすら自分のことに専念しましょう。人のことを考える時間を減らし、自分のすべきことに取り組めば、仕事の質も上がります。そうすれば、失敗することもなく、ミスして怒られることもありません。
人の顔色をうかがってストレスが溜まることもないなど、一石二鳥どころかそれ以上のメリットがある方法です。
あがくのをやめる
人の顔色をうかがう人は、「何としても失敗を避けたい」「どうしても人に嫌われたくない」といった心理を抱えているケースがよくあります。
けれど、これはもはや悪あがきといっていいでしょう。人はどれだけ注意していても、失敗することがあります。また、どんな人気者でも、すべての人に好かれることはできません。
どれだけ人の顔色をうかがっても、全く失敗せずに済む方法はなく、周囲の人たち全員に好かれることができないとなれば、思い切ってあがくのをやめましょう。
そうすればフッと気持ちが楽になって、人がどう考えているかが、前より気にならなくなりますよ。
人の顔色をうかがって疲れたときの対処法は?
そのため、癖をなおす方法に取り組む一方で、人の顔色をうかがって疲れた時の対処法も知っておきましょう。
ここでは、人の顔色をうかがって疲れた時におすすめの対処法をご紹介します。
全ての人に好かれるのは不可能だと悟る
癖をなおす方法でも触れましたが、全ての人に好かれるのは不可能です。世界中に多くのファンを持つ人気俳優やアイドル、トップアスリートにも「アンチ」と呼ばれる人が存在します。アンチとは、ファンとは違って徹底的に嫌う人のことです。
人気者でさえ嫌われるのですから、普通の人が全ての人に好かれるのが不可能なのは当然ですよね。
「自分は不可能なことをしようとしている」と悟れば、人の顔色をうかがって疲れた時に、「どう頑張っても全ての人に好かれることはできない。だったらやめてしまおう」と、気持ちの切り替えが出来るのではないでしょうか。
一人の時間を作る・増やす
人の顔色をうかがうことに疲れた時は、一人で過ごす時間を作る、もしくは増やすといいでしょう。
ただし、一人になって「こうすればよかった」とか「もっといい方法があったかもしれない」などと悶々と考えるのはNGです。何か無中になれることを用意してから、一人の時間を持ちましょう。
おすすめは、無心になって取り組めるものや、やっていると時間を忘れてしまうほどのめり込めるものです。
「そんなの、何もない…」という人は、ネットでおもしろ動画を探してみてはいかがでしょうか。特に動物たちのおもしろ動画は、ほっこりさせてくれると同時に、癒しを与えてくれますよ。
自分の事を第一に考えてみる
人の顔色をうかがうという行動は、自分ではなく常に他人を優先する行動ですよね。いつも他人優先で自分は後回しの状態が続いていれば、疲れるのも無理はありません。
「もう人の顔色をうかがうのに疲れた」と感じた時は、自分のことを第一に考えてみましょう。たとえば、上司がまだ仕事をしていても、終業時間が来たら先に退社するのです。
その際、「申し訳ありませんが、体調が優れないのでお先に失礼させていただきます」と言えばOK。自分の事を第一に考えて行動したら、意外とすんなりいって「何だ、大したことなかった」と思える可能性があります。
優しくしてくれる人を大切にする
世の中の全ての人に好かれることはできないとわかっていても、人はどうしても自分を嫌う人に注意が向きがちです。「あの人はなぜ私を嫌うんだろう、どうしたら好きになってくれるんだろう」と考えたことは、誰しもあるのではないでしょうか。
けれど、相手が自分を嫌う理由は相手の事情であり、自分でどうにか出来るものではありません。一方、周りを見渡せば、自分に優しくしてくれる人がいるはずです。
嫌いな人のことで悩む時間があるなら、優しくしてくれる人を大切にしましょう。優しく接してくれる人を大切にすれば、困った時にはきっと助けてくれますよ。
人の顔色はたまにうかがうくらいがちょうどいい
人の顔色をうかがうと、デメリットをたくさん背負い込むことになり、精神的に疲弊してしまいます。できることなら人の顔色をうかがう癖を改善し、ストレスを減らしたいものですよね。
ただし、癖がなおるまでは疲れることもたくさんあるはず。疲れた時のために、対処法を知っておくことも大事です。
考え方や癖を変えていき、「時々は人の顔色をうかがうこともある」くらいになるのが、ちょうどいいのではないでしょうか。
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