共依存夫婦の特徴や原因とは?起こり得る問題についても考えてみよう

共依存夫婦の特徴や原因とは?起こり得る問題についても考えてみよう

「共依存夫婦」という夫婦の関係性をご存じでしょうか?自分を犠牲にしてまで相手に尽くしすぎてしまう、常に相手の顔色をうかがって生活をしていて苦しい...。そんな人は、もしかしたら共依存夫婦になっているかもしれません。そこで今回は、共依存夫婦になる原因や特徴、抜け出し方などをご紹介します。自分達夫婦のあり方に疑問を持っている人は、ぜひご覧ください。


共依存夫婦って具体的にどんな夫婦?

共依存夫婦とは、夫と妻がお互いに過剰に依存している夫婦のことを指します。パートナーの存在によって自分自身の価値を見出す傾向にあり、その関係性によって苦しんでいる人たちがいるのです。この記事では、共依存夫婦について具体的にご紹介します。

そもそも「共依存」って?


共依存とは、恋人、配偶者、親子、友人などの特定の人と、お互いに過剰に依存し合ってしまうことを指し、その関係性は2つのタイプに分かれて成り立っています。

その2つのタイプとは、相手をコントロールし思い通りにしようとする「支配する側」と、そんな相手に尽くしたい、認められたいと思い振り回されてしまう「支配される側」です。

このように、支配する側とされる側として成り立つことで、自分自身の価値を相手に見出し、精神を保とうとしてしまう傾向があります。

夫婦だけではなく親子間にも起こりえる


共依存は夫婦だけではなく、親子間にも起こりえます。

子離れできない親が問題になることがありますが、この状態がエスカレートすると共依存を引き起こしてしまうので注意が必要です。

正常な親子関係であれば、子どもが成長するにつれて芽生える自立心を親がサポートしながら見守っていくでしょう。しかし、共依存親子の場合は、親の過干渉によって子どもの自立心を阻害してしまうのです。

モラハラやDVから共依存になることが多い


モラハラやDVの被害者が、心身ともに傷ついているにもかかわらず加害者から離れることができないのは、共依存が原因の1つにあります。

暴力と甘い言葉で相手を支配し、心の充足感を得ている加害者に対して、被害者は「この人は自分がいないとダメなんだ」と錯覚してしまうのです。離れるどころか、より一層相手に尽くそうとしてしまうのが共依存の特徴であるといえます。

暴力の後に見せられる愛情ある言葉や態度に縛られた被害者は、相手に求められていると思い込み、離れることができなくなってしまうのです。

共依存夫婦にありがちな考え方

それでは、共依存夫婦はどういった考え方をもって日々生活をしているのでしょうか。共依存夫婦にありがちな考え方をご紹介いたします。

「自分がいないと相手はダメになる」


共依存夫婦は「自分がいないと相手がダメになる」と思っており、過剰に相手をフォローすることで自分の存在価値を見出している傾向があります。

例えば、ギャンブル依存症のパートナーに対してお金を渡し続けてしまったり、借金を肩代わりして助けてしまう人がいますが、これは依存症の解決にはなっていません。反対に依存を助長させてしまう行為です。

共依存の状態になっていると、本人の問題意識をそらしてしまうような行動を取ってしまい、なかなか解決に至らないことも少なくありません。

「相手がいないと自分はダメになる」


共依存している夫婦は「相手がいないと自分はダメになる」とも思っています。

このように考えてしまう人は執着心が強く、別れたくてもなかなか離れてくれないでしょう。また、愛されたいという気持ちが人一倍強いがために、自分の意思よりも相手の行動や発言に左右されてしまう傾向があります。

そのため、不安感が常に自分を支配し安心することができません。その気持ちを相手に押し付けてしまうため、相手を縛り付けて安心しようとすることもあります。

「ぜんぶ自分が悪い」


共依存に陥っている人は、相手の要求に応えられなかったり叱責されるたびに、「ぜんぶ自分が悪い」と必要以上に自分を責めてしまう傾向があります。

そのような考えを持つ人は、依存している相手の期待に常に応えたいと願っており、期待に応えられなかった時は過剰に落ち込んでしまうのです。

そうすると、相手の反応をうかがいながら行動するようになってしまい、依存がどんどんエスカレートしてしまいます。

「相手を怒らせたくない」


「相手を怒らせたくない」「怒られないようにするにはどうすればいいのか」と常に考えているのも、共依存の状態にあるといえます。

これは、パートナーがモラハラ気質の場合によくある傾向です。相手の怒りの感情を受け続けて萎縮してしまい、頭の中が「怒らせたくない」といった考えでいっぱいになってしまいます。

相手の機嫌に一喜一憂しながら生活を送らなければならないため、精神的に不安定になりがちでしょう。

共依存夫婦になってしまう原因

共依存夫婦の状態は、自覚症状がなく徐々に精神を削られていきます。また、心身ともに安定していない状態が続くため、周囲に様々なトラブルを引き起こしかねません。

では、なぜ共依存の状態を引き起こしてしまうのでしょうか。

自己肯定感が低い


自己肯定感が低い人は、相手に認めてもらいたいという気持ちが強く、共依存の状態を引き起こしやすくなります。

なぜなら、自らを無条件に認めることができないので、自分以外の誰かの存在によって自身の価値を測ろうとしてしまうからです。

さらに、周囲にいる人間の言葉や態度によって物事を決定してしまうところがあります。それにより、パートナーや周囲の人間に対して過剰に執着してしまう傾向もあると言えるでしょう。

依存体質


性格的に依存体質な人は、共依存になりやすいと言われています。

依存体質の人は、もともと精神的に人よりももろい部分があるため、不安やストレスに1人で耐えることができません。そのため、人や物に執着して気持ちを和らげようとします。特に身近にいる人間に寄りかかってしまいやすいので、恋人や夫婦といった関係の相手に依存しやすいでしょう。

また、執着できる人がいないと、タバコ、ギャンブル、酒などに走りやすく、家庭内でのトラブルを引き起こす原因を作ってしまうこともあります。

周囲に流されやすい


共依存夫婦になってしまう人は、周囲に流されやすいという一面があります。

周囲に流されやすい人というのは、相手から批判されたり嫌われることを極端に怖がってしまうので、自分の意見を持って行動することができません。そのため、相手のペースにあわせることでその場を取り繕っているのです。

夫婦となった場合、ある程度自分の意見を持って行動ができないと、相手の主張が常に優位になってしまいます。悪く言えば、パートナーの言いなりになってしまうのです。この状態が長く続くと、徐々に判断能力を失っていき共依存を引き起こしてしまいます。

責任感が強い


責任感が強い人は、真面目な性格であるがゆえに相手に尽くしすぎてしまうところがあり、共依存になりやすい性格だと言われています。

例えば、アルコール依存症の夫を抱える妻が「なんとかしてあげなければ」と献身的に支える、といった話はよく耳にする状況です。一見、相手を一生懸命に思い疲弊しながらも尽くす妻は、賞賛されるべきだとも思えます。

しかし、夫はその状況に甘えてしまいやすく、なかなか治すことができないので、逆効果の道をたどっているのです。

どんな状況でも相手を守る、という気持ちは決して悪いことではありません。しかし、守ることと甘やかすことの境界線が引けなくなってしまうと、このような共依存になってしまいます。

感情表現が苦手


感情表現が苦手な人は、共依存を引き起こしやすいと言われています。

感情表現が苦手な人は、生活の中で生まれる感情を適度に吐き出すことができません。徐々に溜めこんでしまった感情は、時に激しく爆発してしまい、コントロールすることができず他者を傷つけてしまうことがあります。

また、愛情を口にしたり言葉で表現することが苦手なため、自分の思いを上手く伝えることができません。それが束縛や執着に変わって、相手を苦しめてしまうこともあります。

共依存夫婦の特徴とは?《前編》

共依存夫婦は、はたから見たら仲睦まじくお互いを支えあっているように見えていることもあります。それでは、どういった特徴がある夫婦を「共依存夫婦」というのでしょうか。

相手への束縛や干渉のし過ぎ


共依存夫婦は、常に相手が自分に愛情を向けている状態かどうかを確認します。相手の行動を束縛し干渉することで、自分から離れないように縛り付けてしまうのです。

例えば、相手がとる行動にいちいち口を出したり、常に監視し行動に制限をかけることで自らを安心させようとします。その心中には「相手を自分の思い通りにしたい」という支配欲があるのです。

また、自分自身が愛されているという実感が湧きにくいため、相手を縛って従わせることで、自分から離れないように守っているところもあります。

自分よりも相手を優先


自分を犠牲にしてでも相手を優先する行動は、共依存夫婦の特徴に当てはまります。

自分よりも相手を優先するのは愛情深いように見えますが、エスカレートするとただの相手の言いなりです。夫婦の中での主従関係が加速すると、「主」の側は自分の望んだ通りに相手が行動しないと、不機嫌になったり罵声を浴びたりして服従させようとします。

「従」の側は相手を怒らせたくない気持ちから、自分を犠牲にしてでも相手を優先した行動をとらざるを得ません。そうしてますますお互いに依存してしまうのです。

相手の欲求は何でも受け入れる


共依存夫婦は常にパートナーが優先になっているので、相手の欲求を何でも受け入れてしまう傾向があります。

例えば、依存している側は、自分のことを認めて欲しいという気持ちが強く根底にあるので、相手の要求を断ることができません。

そして依存されている側は、何でも受け入れてくれる相手にさらに求めることで満足感を得ています。そうして、お互いの心の足りない部分を補いあってしまうのです。

アルコールやギャンブル依存症


共依存夫婦には、どちらかがアルコールやギャンブル依存症だという人も少なくありません。

例えば、アルコール依存症になっている夫を献身的に支えている妻は、夫をケアすることで頭がいっぱいになります。夫は一生懸命ケアされている状態に依存してしまうので、一向に治ることはありません。

また、妻もそんな夫を支えていることに自分の存在価値を見出してしまいます。お互いに支えあっているように見えますが、過剰なケアによって飲酒を一向にやめることができない状態は、共依存という形になってしまうのです。

共依存夫婦の特徴とは?《後編》

共依存夫婦は、カップルの時から共依存の傾向があります。結婚を控えている人は、今の相手との関係に当てはめて見てみるのもいいかもしれません。

結婚前からお互いに依存状態


結婚前からお互いに依存状態の夫婦は、高確率で共依存夫婦となります。

特に恋愛中は周りが見えなくなりやすいので、相手のことばかり考える時間が多くなりがちです。結婚前のカップルでお互いを監視しあったり、生活を縛ったりして依存状態に陥っている人たちは少なくありません。

そうした行動は、籍をいれたからといって変わることはまずないでしょう。むしろ結婚を機に、一段と共依存状態が加速してしまう可能性は高いです。

試し行動をする


共依存している状態は、常に気持ちが不安定です。そのため、自分が愛されているか不安になり「試し行動」をとってしまう人もいます。

試し行動とは、小さな子どもが親の愛情を確かめるために、わざと親を困らせるようとしてとる行動のことです。同じように、大人になってから、大切に思っているはずの恋人や家族に暴言を吐いたり暴力を振るったりして、愛情を確かめる人がいます。

相手が自分のために怒ったり悲しんで泣いたりする姿を見て、愛情を確認し満足してしまうのです。

現実から目を背けたがる


他にも、共依存夫婦の特徴として、現実から目を背けたがる傾向があることが挙げられます。

典型的な例だと、DV被害を受けているのにもかかわらず、「普段は優しい人だから」と別れることができないといったケースです。パートナーが自分に手をあげている事実に目を向けることができず、優しくしてくれるその一瞬に意識を向けてしまうことが原因です。

現実に起きていることから目を背けたくなるといったことは、誰もが経験することでしょう。しかし、目の前の現実が自分自身を苦しめているにもかかわらず、目を逸らし続けてしまうと、幸せを遠ざけてしまいます。

常に罪悪感がある


「あの人があんなふうになったのは自分のせい」などと、必要以上に自分のことを責めて常に罪悪感を抱いていることも、共依存夫婦の特徴として挙げられます。

共依存の状態になると、本来自分が感じる必要のない罪悪感に苛まれて苦しんでしまうことがあり、なかなか心穏やかな時間を過ごせません。

また、自分にとって心地よいことをするたびに罪悪感を感じる人もいます。モラハラを受けている人は、自尊心を削られてこのような思考に陥りやすいと言えます。そのため、支配されている状況からなかなか抜け出せないといった問題もあるのです。

共依存夫婦に起こってしまいがちな問題

共依存夫婦には、様々な隠れた問題があります。夫婦だけの問題では留まらず、家族全体の幸せを脅かすことにもなりかねません。それでは、共依存夫婦にはどういった問題が潜んでいるのでしょうか。

子どもにも依存してしまう


共依存夫婦は、本来の家族としてあるべき愛情のバランスが崩れてしまったため、子どもに依存してしまうことがあります。

例えば、夫からの暴力や暴言が日常化している妻が、夫から与えてもらえない愛情を子どもから受け取ろうとして、一心に愛情を注いでしまうパターンです。子どもに対して過度に「必要とされたい」「自分の望むように育ってほしい」と願い、支配しようとします。

これはいわゆる毒親というもので、子どもの成長に悪影響を及ぼしかねません。親の支配下にいた子どもは、成長して自立する年齢になっても自立することができなかったり、反対に親との関係を断ち疎遠になることを望むケースもあります。

精神的に疲れてしまう


共依存夫婦は、相手に自分の存在価値を委ねてしまうため、パートナーに振り回されやすく精神的に疲れてしまうことがほとんどです。

日々パートナーの機嫌や顔色、言動に左右されてしまうので、心が休まることがありません。また、自尊心が欠如しているので、日常生活の中で満たされることが少なく、どんどんマイナス思考に陥ってしまいます。

さらに、周囲に当たり散らしたり反対に塞ぎこんでしまうようなこともあり、情緒が安定しません。共依存の状態は、心の健康まで奪ってしまうのです。

DV問題が起こりやすくなる


共依存夫婦になってしまうと、DV問題が起こりやすくなります。

共依存の状態は、安定している時は仲睦まじく、周りから見ても問題があるように見えないかもしれません。しかし、何か問題が起こると感情のコントロールが利かないところまで怒りが達し、すさまじい勢いでぶつかりあってしまうことがよく起こります。それが、DVにまで発展してしまうことがあるのです。

DV加害者は、自分の思い通りに相手をコントロールするために、精神的、肉体的に暴力を振るいます。ところが、支配下にいる被害者は「自分にも非がある」と相手を責めず、DVを受けている認識がないこともあるので、問題が表に出てきにくいのです。

苦しくても離婚することができない


共依存夫婦は、その状態が苦しくても離婚することがなかなかできません。

共依存の状態になると視野が狭くなり、周りとのコミュニケーションも希薄になります。なぜならば、支配している側が肉体的、精神的、社会的に相手を孤立させて、自分以外の人間や外の世界との交流をシャットアウトしようとするからです。

支配されている側は、そんな状況の中でも「自分にはこの人しかいないから」などと自分を納得させて過ごしてしまいます。そのため、辛くても離婚するという選択までなかなかたどり着けないのです。

共依存夫婦から抜け出すためには?

夫婦には様々な形があります。しかし、心が安定しない日々が続いたり、神経をすり減らすような夫婦生活を送ることは、正常な状態ではないですよね。

共依存は、自分自身はもちろん、関わる周囲の人間にも影響を及ぼしかねません。それでは、どうしたら共依存夫婦から抜け出すことができるのでしょうか。

まずは共依存夫婦だと自覚する


まずは、自分たちが共依存夫婦だということを自覚することが改善への第一歩です。

何事も改善するためには、自分が今置かれている状況を理解し自覚することから始まります。しかし、誰かに依存している自分と向き合うのは、そんなに簡単なことではありません。

自分が今何を感じているのか、どうしたいと思っているのかをメモしていくだけでも効果があります。吐き出した感情を後から見返すことで、客観的に自分を見つめなおすことができるでしょう。

精神的に自立する


お互いの存在によって自分の存在価値を感じている共依存夫婦は、精神的に自立することで改善が見込まれます。

相手に依存していると、自分の行動を相手に委ねてしまいがちです。この状態から抜け出すためには、「自ら選択して行動する」ということに意識的に取り組む必要があります。

相手に任せず、自分の意思をもって行動しましょう。そして、行動の結果に対して責任をもつ覚悟を決めることが重要です。これが可能になれば、自尊心が向上し精神的に自立している状態に近づくことができるでしょう。

周囲の人と関わりを積極的にもつ


共依存夫婦の特徴として、地域や社会との交流が希薄になる傾向があります。周囲との関わりを積極的にもつことで視野が広がり、いち早く改善に向けて動き出すことができるでしょう。

共依存の状態にいる人たちは、相手のことや抱えている問題のことで頭がいっぱいになっており、外の世界や他人のことを受け入れることができません。そのため、視野がどんどん狭くなり、がんじがらめになっていってしまうのです。

友人、会社の同僚、両親、近所の人など、周囲との関わりは自分を救うきっかけになります。人間関係を狭めるようなことはせずに、積極的に周りと関わっていきましょう。

自己肯定感を高める


共依存夫婦は、自分で自分の価値を見出すことができません。この状態を改善するためには、自己肯定感を高める必要があります。

自己肯定感が低い人は自分の在り方を人に委ねてしまい、自分自身で自らを満足させることができません。常に相手の顔色や言動に左右されてしまうため、心が不安定な状態が続いてしまいます。そうなると、幸福感を感じにくくハリの無い生活になってしまうのです。

自己肯定感を高めるには、様々な方法があります。自己肯定感に関する本を読んでみたり、元気を与えてくれる人やモノと触れ合う時間を長くしたりと、まずはできそうなことから始めてみましょう。

夫婦の形に疑問を感じたら関係性を見直そう

今回は「共依存夫婦」について紹介しましたが、いかがでしたか。実際は、共依存夫婦になっていたとしても自覚することが難しく、改善するのは容易なことではないでしょう。

しかし「これはおかしいのでは?」と今の関係性に少しでも疑問を感じることがあれば、改善に動き出すことができるのです。

今日から関係性を見直し、改めてお互いを理解し合えるようになりましょう!

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